ポイント
- 農研機構は2024年11月22日に「病害虫抵抗性で耐寒性が強い緑茶用中生品種『かなえまる』標準作業手順書」を公開しました。
- 「かなえまる」は有機栽培および省農薬栽培でも安定的に生産可能であることから「みどりの食料システム戦略」における化学農薬使用量50%削減の目標達成に貢献できる品種です。
- 本手順書では、「かなえまる」の特性や栽培上の留意点をわかりやすく解説しています。
概要

農研機構は、「病害虫抵抗性で耐寒性が強い緑茶用中生品種『かなえまる』標準作業手順書」を2024年11月22日に公開しました。
「かなえまる」は、緑茶用品種として最も多く栽培されている「やぶきた」より病害虫の発生が少ないため、農薬散布を削減しても高品質な茶が安定して生産できます。また、中生品種かつ耐寒性も優れるため、全国の主要な茶産地での栽培が可能です。
本手順書では、農研機構が育成した、主要病虫害(クワシロカイガラムシ1)および炭疽病2)、輪班病3)等)に強い緑茶用中生品種「かなえまる」の特性や栽培上の留意点をわかりやすく解説しています。また、苗の入手方法についても記載しています。
【利用方法】
- 以下のURLより、標準作業手順書のサンプル版(PDF)をどなたでもご覧いただけます。
- 標準作業手順書全編のご利用には利用者登録(無料)またはログインが必要です。
以下のURLより、「ログイン/利用者登録」のページにアクセスすることができます。
病害虫抵抗性で耐寒性が強い緑茶用中生品種「かなえまる」標準作業手順書
URL: https://sop.naro.go.jp/document/detail/147

関連情報
予算 : 農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業 「実需者の求める、色・香味・機能性成分に優れた茶品種とその栽培・加工技術の開発」(農食事業26099C)
平成30年度戦略的プロジェクト研究推進事業委託事業「茶葉の低温保管システムの開発と作期拡大を可能とする新品種の育成」
品種登録番号 : かなえまる「28987号」(2022年3月15日)
用語の解説
- クワシロカイガラムシ
- 茶の難防除害虫のひとつです。多発すると極端に生育が抑制され、場合によっては新芽の摘採もできなくなります。現在は農薬散布により防除を行っていますが、この害虫の発生部位が幹や枝であるため農薬が容易に届かないことから、適切な防除が困難です。[概要に戻る]
- 炭疽病
- 糸状菌が原因で起こる茶の主要病害のひとつです。葉に感染し、赤褐色の病斑を生じます。病斑上に形成された胞子は雨で周囲に飛散し、植物体に侵入することで感染します。感染すると落葉もしくは葉の機能が低下するため、樹勢の低下につながります。[概要に戻る]
- 輪班病
- 糸状菌が原因で起こる茶の主要病害のひとつです。摘採、整枝等によって生じた傷口や害虫の食痕から感染し、葉では感染部位を中心に年輪のような褐色の病斑が生じ、感染した葉の多くは落葉します。茎に感染した場合は黒褐色となり枯れます。輪班病が多発した場合には、夏秋期に新梢が枯死する新梢枯死症が発生しやすくなります。[概要に戻る]
問い合わせ先
研究推進責任者 :
農研機構果樹茶業研究部門 所長井原 史雄
研究担当者 :
同 茶業研究領域 研究員大井 彩子
広報担当者 :
同 研究推進部 茶業連携調整役荻野 暁子