低出力な電源からでもエネルギーを抽出できる超低消費電力型のエナジーハーベスタを開発しました(図2)。このハーベスタに組み込まれている制御ICは、MFCから引き出す電流値を常に最適化します。MFC電力を効率的に回収してエネルギーを
キャパシタ2)に蓄えながら出力電圧を上昇させます。出力9 μWのMFCを電源としてキャパシタの昇圧実験を行ったところ、トランスホーマを利用した既存のエナジーハーベスタ(既存型1)と最大電力点追従制御(Maximum Power Point Tracking; MPPT)を搭載した既存型2は電圧を3.3 Vまで上昇できませんでしたが、新規エナジーハーベスタは3.3 Vまで昇圧できました(図3)。
本成果は、MFCを唯一の電源とした自立駆動型センサーの開発に利用できます。水田にセンサーを設置して気温や水温などを測定することで、施肥量、収穫量、作物病害の発生を予想するモデル構築に役立つと期待されます。また、地球上の様々な地点の河川や湖沼にセンサーを設置してCO2濃度を測定すれば、地球温暖化の動態解析や異常気象の発生予想など気象学への貢献も想定されます。本成果はJournal of Power Sourcesの8月1日号に掲載されました。エナジーハーベスタのICは、2020年度中の市販化を予定しています。
Takahiro Yamashita, Teppei Hayashi, Hirofumi Iwasaki, Masao Awatsu, Hiroshi Yokoyama 2019. Ultra-low-power energy harvester for microbial fuel cells and its application to environmental sensing and long-range wireless data transmission, Journal of Power Sources, 430:1-11. https://doi.org/10.1016/j.jpowsour.2019.04.120
Takahiro Yamashita, Mitsuyoshi Ishida, Shiho Asakawa, Hiroyuki Kanamori, Harumi Sasaki, Akifumi Ogino, Yuichi Katayose, Tamao Hatta, Hiroshi Yokoyama 2016. Enhanced electrical power generation using flame-oxidized stainless steel anode in microbial fuel cells and the anodic community structure. Biotechnology for Biofuels, 9: 62. https://doi.org/10.1186/s13068-016-0480-7. eCollection