ポイント
- 農研機構は「天敵を主体とした果樹のハダニ類防除体系標準作業手順書 オウトウ編」を本日ウェブサイトで公開しました。
- 本手順書は、オウトウ栽培において、果樹の難防除害虫ハダニに対して利用可能な天敵を主体とした<w天(ダブてん)>防除体系1)について解説しています。
- 生産現場において本防除体系を実践していただくために、本防除体系の導入手順や留意点を多くの写真や図表とともに詳しく記載しています。
概要
農研機構は、「天敵を主体とした果樹のハダニ類防除体系標準作業手順書 オウトウ編」を2024年7月31日に公開しました。
オウトウ栽培では、果実肥大期に雨除けを被覆するため、高温・乾燥によりハダニが多発しやすくなります。
ハダニは増殖が速く、化学合成農薬(殺ダニ剤)に対して薬剤抵抗性2)を発達させやすい害虫です。ハダニの有力天敵であるカブリダニ3)を主役とする、土着天敵と天敵製剤の2つの天敵利用技術を合理的に組み合わせた果樹の<w天>防除体系は薬剤抵抗性が発達しにくく、環境にやさしい、持続的な害虫管理技術です。本技術はオウトウ栽培にも応用でき、山形県を事例に栽培モデル体系が作られています。
本標準作業手順書(SOP)は、<w天>防除体系をオウトウの栽培特性に基づいて構築するための考え方や導入における留意点とともに、モデル体系や導入事例を紹介しながら、本防除体系の構築から導入、実践までのノウハウを解説します。
<w天>防除体系は、殺ダニ剤による防除が困難な産地はもとより、現状では薬剤防除に問題がない産地においても、殺ダニ剤の使用頻度の抑制とその持続的利用を可能にし、オウトウの生産力の向上と環境負荷低減栽培の両立に貢献します。
【利用方法】
- 以下のURLより、本SOPのサンプル版(PDF)をどなたでもご覧いただけます。
- 本SOP全編のご利用には利用者登録(無料)またはログインが必要です。
以下のURLより、「ログイン/利用者登録」のページにアクセスすることができます。
「天敵を主体とした果樹のハダニ類防除体系標準作業手順書 オウトウ編」
URL : https://sop.naro.go.jp/document/detail/128
用語の解説
- <w天>防除体系
- 果樹のハダニ防除について持続的管理を目標に開発された、果樹園に自然に生息する土着天敵や製剤化された天敵(天敵製剤)の利用を主体に、化学農薬を合理的に組み合わせる技術です。これまでにリンゴ編、ナシ編、施設編(ブドウ/ミカン)の標準作業手順書が公開されています。[ポイントに戻る]
- 薬剤抵抗性
- 薬剤(農薬)に対する虫の耐性のことです。[概要に戻る]
- カブリダニ
- ハダニ類の主要な天敵。体長0.4mmほどで、国内では90種以上が知られています。果樹園内では、地域や樹種ごとに異なった複数の種が生息しており、土着天敵としてハダニ防除に貢献しています。また、カブリダニを人工的に増やし、生物農薬として登録・製品化した製剤も販売されています。[概要に戻る]
問い合わせ先など
研究推進責任者 :
農研機構植物防疫研究部門 所長大藤 泰雄
研究担当者 :
同 果樹茶病害虫防除研究領域 上級研究員外山 晶敏
上級研究員岸本 英成
上級研究員岸本 英成
広報担当者 :
同 渉外チーム長久保田 健嗣