ポイント
- 農研機構は「促成栽培トマトにおける天敵タバコカスミカメ利用によるタバココナジラミの密度抑制技術標準作業手順書」を7月14日にウェブサイトで公開しました。
- 本手順書では、トマト黄化葉巻病が問題となっている促成栽培トマト産地の普及指導員や営農指導員、生産者を対象に、技術の概要や導入手順、注意点を、実証事例とともに解説しています。
概要
農研機構は2025年7月14日に「促成栽培トマトにおける天敵タバコカスミカメ利用によるタバココナジラミの密度抑制技術標準作業手順書」を公開しました。

促成トマト栽培では、害虫タバココナジラミが媒介するウイルスによって引き起こされるトマト黄化葉巻病の発生が深刻な問題となっています。タバココナジラミは幅広い化学合成殺虫剤に対し抵抗性を発達させているため、殺虫剤に頼り過ぎない新たな防除体系の確立が求められています。
促成トマト栽培では、9月上旬の定植から晩秋までの期間と春季の2度、タバココナジラミの侵入リスクが高まります。薬剤の使用を低減しながら効果的に被害を抑制するため、ウイルス病による被害リスクが大きい定植から晩秋の期間は害虫忌避剤「グリセリン酢酸脂肪酸エステル(別名:アセチル化グリセリド)」と化学合成殺虫剤を使用し、タバココナジラミの密度が再び高くなる春季は天敵昆虫のタバコカスミカメによる防除を主体とする総合的な防除体系を確立しました。本体系では、バンカー法(天敵の餌となる生物や植物を利用し、長期にわたってほ場内で天敵を管理する技術)を使い、晩秋からタバコカスミカメを維持・増殖させ、春季に活用することが重要なポイントです。この体系の導入により、栽培期間を通じてトマト黄化葉巻病の感染リスクを抑え、化学合成殺虫剤の使用回数を低減できます。
【利用方法】
- 以下のURLより、標準作業手順書のサンプル版(PDF)をご覧いただけます。
- 標準作業手順書全編のご利用には利用者登録(無料)が必要です。以下のURLより、「ログイン/利用者登録」のページにアクセスできます。
問い合わせ先
研究推進責任者 :
農研機構 植物防疫研究部門 所長大藤 泰雄
研究担当者 :
同 作物病害虫防除研究領域
上級研究員安部 順一朗
上級研究員安部 順一朗
広報担当者 :
同 渉外チーム長久保田 健嗣