農研機構
株式会社複合技術研究所
ポイント
農研機構は、低コスト・短期間で行えるため池の耐震診断手法「SIPニューマークD法」を開発しました。一般的な土質試験だけで、ため池の決壊などにつながる、ため池堤体の沈下量を予測します。本手法は「ため池防災支援システム」1)や、PC版ソフトウェア「SIP-NewD」により利用でき、本格的な「詳細診断」が必要なため池の絞り込みに利用できます。
概要
東日本大震災などの巨大地震(レベル2地震動2))では、地震による繰り返しの力を受けることで、ため池堤体土3)の強度が常時より低下する現象(以下、「強度低下」とよびます)が発生し、堤体が大きく沈下して、決壊などの被害が発生するおそれがあります。強度低下を考慮した安全性を診断(以下、「詳細診断」とよびます)するためには、特殊な土質試験4)が必要であり、防災重点ため池5)に対して「詳細診断」を進めていくにあたり多大なコストや期間を要します。
そこで農研機構は、一般的な土質試験6)だけで強度低下を推定するモデル(以下、強度低下モデル7))を作成し、地震時のため池沈下量を予測する手法「SIPニューマークD法」を開発しました。本手法は、「ため池防災支援システム」に組み込まれ簡易な条件設定で概略的な診断(一次スクリーニング)を行うことが可能な「サーバー版耐震診断システム」と、より具体的な詳細な条件設定が可能なPC版ソフトウェア「SIP-NewD」(二次スクリーニング)の2種類があります。本手法は低コストかつ短期間での耐震診断が可能で、本格的な「詳細診断」が必要なため池の絞り込みに利用できます。

関連情報
予算:内閣府 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「レジリエントな防災・減災機能の強化」