プレスリリース
(研究成果) ダリア・エターニティシリーズに新品種登場
良日持ち性ボール咲き品種「エターニティファイヤー」を追加

- 種苗生産のための原種苗提供予約を開始 -

情報公開日:2026年2月13日 (金曜日)

ポイント

  • 農研機構は、優れた日持ち性と美しさで全国に普及が進む「良日持ち性ダリア・エターニティシリーズ」に、鮮やかな濃赤色でシリーズ初となるボール咲き品種「エターニティファイヤー」を追加し、バリエーションを拡大しました。
  • 種苗生産のための原種苗提供予約を開始し、新品種の全国的な普及を目指します。

概要

日持ちは、消費者が花を選ぶ際のポイントの一つであり、花きにおける最も重要な育種目標の一つです。ダリア(Dahlia variabilis)は、豪華な巨大輪から清楚な小輪まで、花の大きさや花型のバリエーションが豊富で、多彩な花色を持つことから、人気の切り花として消費量が年々増加しています。一方で、ダリアには「日持ちに劣る」という課題があり、さらなる消費拡大のためには日持ち性の改良が強く求められてきました。

農研機構では、2014年よりダリアの日持ち性向上を目指した育種研究に取り組み、2020年以降、花色、花形などが異なる7品種からなる「良日持ち性ダリア・エターニティシリーズ」を育成し、全国での普及が進んでいます。

このたび、エターニティシリーズに、シリーズ初となるボール咲きで、鮮やかな濃赤色が特徴の新品種「エターニティファイヤー」を追加し(図1)、種苗生産のための原種苗提供の予約を開始しました。これにより、先行して普及している7品種に新たなバリエーションが加わり、用途や好みに応じた日持ちの良いダリアの選択肢が広がります。

図1「エターニティファイヤー」の花

予約期間 :
2026年2月13日から2026年3月27日まで
原種苗配布 :
2026年10月下旬予定(有償配布になります)
申し込み先 :
農研機構野菜花き研究部門 研究推進室 渉外チーム
e-mail yoyaku-daria@ml.affrc.go.jp FAX 029-838-6673

留意事項 : 原種苗提供時に、2つの契約を締結します。

  • 利用許諾契約 : 農研機構と利用許諾団体間の契約
    なお、利用許諾は、種苗の生産・販売を行う業者、地方公共団体、農林漁業者の組織する団体(農業協同組合等)等と締結します。生産者個人とは締結できません。
  • 原種苗提供契約 : 農研機構野菜花き研究部門と利用許諾団体間の契約

    利用許諾について、詳しくは、農研機構ホームページ「品種の利用方法」のページ(https://www.naro.go.jp/collab/breed/breed_exploit/index.html)をご覧下さい。

関連情報

  • 予算 : 農林水産省委託プロジェクト研究「国産花きの国際競争力強化のための技術開発」(課題番号15653424; 2015~2019年)、農林水産省農産局「ジャパンフラワー強化プロジェクト推進」(2021年、2022年、2023年)
  • 「エターニティファイヤー」品種登録出願番号 : 「第37515号」(2024年7月5日出願、2024年10月24日出願公表)
問い合わせ先
研究推進責任者 :
農研機構 野菜花き研究部門 所長東出 忠桐
研究担当者 :
同 野菜花き品種育成研究領域 研究員藤本 卓生
広報担当者 :
同 研究推進室仁木 智哉

詳細情報

開発の社会的背景

ダリアは、全国的に生産・消費が拡大している花きです。(株)大田花き花の生活研究所によれば、2024年のダリアの生産額は22.9億円と推計されています。東京都中央卸売統計によれば、ダリアの取扱金額は2009年の約4億円から、2023年の約7億円と約1.8倍の増加を示しており、今後も切り花の重要品目としての成長が期待されています。これまでは主に結婚式などのイベント用途を中心とした業務用需要に限られていましたが、近年では小売店での取り扱いが増え、家庭用としての需要も拡大しています。しかし、他の花と比べて切り花の日持ち性に劣るという大きな課題があり、家庭用等の新たな需要に応えるためには、日持ち性に優れた品種の開発が不可欠です。さらに、消費者の選択肢を広げるために、花色や花型の多様性にも配慮した品種育成が求められています。これにより、ダリアを家庭で楽しむ切り花としてはもちろん、日持ち保証販売1)や輸出用途にも適した花きとして、より広く定着していくことが期待されます。

研究の経緯

農研機構では、2014年からダリアの日持ち性向上を目指した育種研究に取り組んできました。2020年には、日持ち性に優れるダリア3品種―暗赤色の「エターニティトーチ」、濃桃色の「エターニティロマンス」、深赤色の「エターニティルージュ」―を育成し、続く2022年には、桃色で中心が白い複色花の「エターニティピーチ」、濃桃色で輸送適性に優れる「エターニティシャイン」を加えました(図2)。日本最大の花き卸売会社である(株)大田花きの品種別入荷量データによると、2024年1月~12月のダリア切り花全体の入荷量に占める、これらエターニティシリーズ5品種の割合は3.7%に達し、「エターニティロマンス」が取扱量で全体10位に達しました。ダリアは多数の品種が流通しており、取扱量上位5品種の品種シェアは4~6%にとどまります。5品種合計ではありますが、普及開始から短期間でのシェア拡大は、市場において日持ち性が重要視されていることを表しています。

さらに2023年には、シリーズ初の白色花色「エターニティムーン」、明赤色で観賞中に花色がアプリコット色へ変化する「エターニティサンセット」の2品種が加わり(図2)、2025年から苗販売と切り花生産が開始されました。これにより、シリーズ全体のさらなる普及拡大が見込まれています。

図2良日持ち性ダリア・エターニティシリーズ7品種の花 ①「エターニティトーチ」、②「エターニティロマンス」、③「エターニティルージュ」、④「エターニティピーチ」、⑤「エターニティシャイン」、⑥「エターニティムーン」、⑦「エターニティサンセット」
「エターニティトーチ」はセミカクタス咲き、その他6品種はフォーマルデコラ咲き。

エターニティシリーズのバリエーションを増やし、消費者の多様なニーズに応えることは、市場の活性化や新たな切り花需要の創出に繋がります。農研機構では、さらなる日持ち性の向上に加え、これまでのセミカクタス咲き(花弁の先端に向かって花弁が外側に反っている花型)、フォーマルデコラ咲き(幅の広い舟形の花弁が幾重にも重なるダリアの代表的な花型)以外の花型を持つ品種の育成にも取り組んできました。

新品種「エターニティファイヤー」の特徴

  • 約2倍の良日持ち性

    「エターニティファイヤー」と、開花期の近い橙色の一般品種を同じ日に収穫し、GLA液2)に生けて日持ち性を比較しました。「エターニティファイヤー」は糖を含む品質保持剤に生けることで花弁がさらに展開し、観賞中のボリューム感が増しました。一般品種では6日目に外花弁のしおれと褐変が始まったのに対して、「エターニティファイヤー」は11日目まで花弁のしおれが見られず、12日目から外花弁のしおれと褐変が始まり、一般品種の約2倍の良日持ち性を示しました(図3)。

    「エターニティファイヤー」の品種化にあたり複数の時期・産地で栽培試験を行いましたが、いずれの時期・産地でも切り花の良日持ち性を示しました。よって、「エターニティファイヤー」の良日持ち性は品種特性であり、栽培時期や場所に大きく左右されないことが確認されました。

    図3一般品種(左)と「エターニティファイヤー」(右)のGLA液における日持ち性 (茎長40 cm、室温23°C、相対湿度70%、蛍光灯で12時間日長条件で調査した。
    撮影日 : 2024年12月15日~12月27日)
  • 生産・販売上のメリット

    「エターニティファイヤー」は、鮮明な濃赤色の中輪ボール咲きで、花色が美しく、花型が整っています。ダリア生産者ほ場での試験栽培でも、既存の赤色品種よりも赤色が鮮明で、かつ収穫本数や草丈の伸長性も十分あり、試作した生産者からも高評価でした(図4)。花弁数が非常に多いことも大きな特徴で、自然日長の夏秋期には185~186枚、電照栽培を行う冬春期には313~344枚もの花弁がつきます。そのため、低品質と評価される露心3)がほとんど発生しません。また、収穫後の花色は安定しており、退色は認められません。外花弁の展開が早いため開花後はすぐにボール状になり、輸送時の花弁傷みも少ない花型です。

    図4奈良県のダリア生産者ほ場における「エターニティファイヤー」の試験栽培での開花状況
    (奈良県葛城市、2025年1月15日) 花色が鮮明な濃赤色で露心の発生がなく、出荷規格の茎長80cmを確保可能な草丈で高評価。
  • 消費者のニーズに合致

    花の直径は約10~12cmであり、家庭用の切り花としても扱いやすい中輪品種で、重なり合う多数の花弁がダリアならではの豪華な雰囲気を演出します。アレンジメントやブーケなどにも使いやすい上向き咲きで、硬さのある茎が曲がりなく真っすぐに伸びることから、切り花としての扱いやすさも備えています。これまでのエターニティシリーズにはなかったボール咲きの新品種として、バリエーション拡大の面からも消費者のニーズに応える品種です。

品種の名前の由来

日持ちが優れるという特徴から、英語で「永遠」を意味する「エターニティ(eternity)」を冠し、エターニティシリーズとして命名しました。「エターニティファイヤー」は、燃えて輝くような鮮赤色の花色であることから命名しました。

今後の予定・期待

今回シリーズに加わった「エターニティファイヤー」は、2027年春以降、民間種苗会社より商用生産用のセル成型苗の販売が開始される見込みです。2027年夏には、一般の生花店の店頭に並ぶ予定です。これまでに開発した良日持ち性ダリア・エターニティシリーズ7品種に続き、新たな花型であるボール咲き品種「エターニティファイヤー」が加わることで、消費者の多様な嗜好により幅広く応えることが可能となります。

花型の選択肢が広がることで、エターニティシリーズ全体の魅力が高まり、切り花市場におけるブランド価値向上にもつながります。また、良日持ち性のダリア・エターニティシリーズが普及することで、長く楽しめる高品質な切り花という消費者ニーズを満たし、「日持ちに劣る」という従来のダリアのイメージを払拭することが期待されます。その結果、ダリア切り花全体の消費拡大や市場規模の拡大にも繋がります。

さらに、日本産の高品質な切り花は海外でも高い評価を受けており、市場関係者や生産者からも関心が寄せられています。ダリア切り花についても、今後の攻めの農林水産業を実現するための有望な輸出品目になることが期待されます。

原種苗入手先に関するお問い合わせ

原種苗については、概要にも記載したように、以下の連絡先にお問い合わせください。
農研機構野菜花き研究部門 研究推進室 渉外チーム
e-mail yoyaku-daria@ml.affrc.go.jp FAX 029-838-6673

利用許諾契約に関するお問い合わせ

下記のメールフォームでお問い合わせください。

農研機構HP【品種の利用許諾についてのお問い合わせ】
https://prd.form.naro.go.jp/form/pub/naro01/hinshu

なお、品種の利用許諾については以下もご参照ください。

農研機構HP【品種の利用方法】
https://www.naro.go.jp/collab/breed/breed_exploit/index.html

用語の解説

日持ち保証販売
生花販売業者が、一定期間切り花の鮮度や美しさを保証し、期間内に日持ちが終了した場合に、交換や返金対応を行う販売形態です。消費者の不安を解消し、購買意欲の向上が見込まれます。一方で、日持ちに劣る切り花品目において日持ち保証販売を実施するためには、良日持ち性品種や、流通過程における鮮度保持技術の開発が必要です。 [開発の社会的背景へ戻る]
GLA液
1%グルコース+ケーソンCG 0.5 mL・L-1+硫酸アルミニウム50mg・L-1から構成される品質保持剤(切り花の品質を保持するために使用される薬剤)です。なお、ケーソンCGはイソチアゾリン系抗菌剤で、導管内での細菌の増殖を抑え、水あげ悪化を抑える効果があります。市販の切り花は生け水に品質保持剤を処理した上で流通していることが多く、品質保持剤の処理条件における日持ち日数を評価することは、市場での販売・流通適性を評価するために重要です。 [新品種「エターニティファイヤー」の特徴1.へ戻る]
露心
ダリアの花には、中心部に花弁が筒状になった「管状花」と、下部が筒状で上部が平らで舌状に伸びる「舌状花」の2種類の小花があります。八重咲き品種のダリアは、ほぼ舌状花から構成されますが、秋が深まり日長が短くなると舌状花の割合が減少し、開花直後から中心部の管状花がむき出しになる「露心」が発生します。露心したダリア切り花は品質が低いと評価されるため、品種選定では露心しにくいことが重視されます。 [新品種「エターニティファイヤー」の特徴2.へ戻る]