プレスリリース
「放射性物質により汚染された農地等の除染のための固化剤散布による表土削り取り工法に関する施工の手引き(案)」
―農地除染のマニュアルをバージョンアップ―

情報公開日:2013年10月30日 (水曜日)

ポイント

  • 放射性物質に汚染された未耕うん農地の除染のための表土削り取り工法について、これまでの研究開発の成果を体系的に取りまとめた手引きを作成しました。
  • 削り残しを防止するための固化剤散布、高精度の削り取り厚さの制御、冬期の除染等に関する工法を現場技術者にわかりやすく解説しています。
  • 本手引きは、平成24年2月に作成した手引きに新たな研究成果や工事に必要な情報を追加し改訂したものです。

概要

農研機構は、放射性物質が集積した未耕うんの農地に対する表土削り取り除染工法についての手引きの改訂版*1を作成しました。

改訂の背景および概要は、以下の通りです。

未耕うん農地の表土削り取り除染では、作物生産機能の保持、廃棄土の減量化のため、放射性物質が集積したごく表層を必要最小限削り取ることが重要になります。このような農地の特殊性を踏まえ、農研機構の農村工学研究所では、除染後の作物生産機能の保持、廃棄土の減量化を目的として、厚さを約3 cmに制御する表土削り取り工法を民間と共同で開発しました。この工法は、農林水産省の農地除染対策実証事業に採用され実績が重ねられるとともに、農村工学研究所において、工法の改良や、施工が困難とされる冬期の除染技術の開発等の研究を進めてきました。

これら一連の研究の取り組みと実績に基づき、最新の研究成果等を加え「放射性物質により汚染された農地等の除染のための固化剤散布による表土削り取り工法に関する施工の手引き(案)」を作成しました。本手引きでは、平成24年2月策定後に明らかになった固化剤散布に係る課題と条件に応じた選択を示すとともに、新たに削り取り厚さを制御するための建設機械のバケット操作や汚染土の収集、土壌凍結が生じる冬期での表土削り取りなどの施工法に関する情報を追加しています。また、工事に必要な標準的な作業人員、作業時間などの歩掛に関する最新情報を掲載しています。本資料は、農林水産省より公表されている「農地除染対策の技術書」*2のうち、研究所が関わった工法について詳しく解説するとともに(実績歩掛は同技術書より引用)、独自の研究情報が記載されています。

本手引きは、希望に応じ無償で配布しますので、必要な場合はお問い合わせ下さい。

予算:内閣府「科学技術戦略推進費」、農研機構運営費交付金
特許:特許第5181110号、特許第5321992号、特開2013-113073、特願2012-102354

用語の説明

*1:本手引きは、平成24年2月に作成した「放射性物質により汚染された農地等の除染のための固化剤吹付け・剥ぎ取り工法に関する施工・積算の手引き(案)」を改訂したものです。

*2:「農地除染対策の技術書」参考URL
http://www.maff.go.jp/j/nousin/seko/josen/index.html