ポイント
- 大規模な地震時に発生する強化プラスチック複合管(FRPM管)の継手部の離脱を防止する継手及び部材を開発しました。
- 開発した継手及び部材は、ゴムを用いており、簡便に施工することができます。
- 本技術を適用することにより、継手部の離脱しにくさが大幅に向上します。
概要
農研機構と(株)栗本鐵工所は、FRPM管の離脱を防止する継手(離脱防止継手)及び部材(離脱防止部材)を共同開発し、特許を出願しました(特願2015-117457及び特願2015-020343)。離脱防止継手は新設のFRPM管を、離脱防止部材は既設のFRPM管を対象にしています。これらを用いることで、FRPM管の特徴である伸縮可とう性*1を保持したまま、大規模地震時に発生するFRPM管の継手の離脱を防止できます。
FRPM管は、継手により管が接合されており(写真1)、通常の使用状態においては、離脱することはありません。しかしながら、管の離脱を防止する構造になっていないため、大規模地震時に、継手部で離脱することがあります(写真2)。特に、パイプライン周辺の地盤が液状化した場合や、曲管などの異形管や空気弁室などの付帯設備の周辺で、離脱の被害が発生しています。我が国では、東海・東南海・南海地震や首都直下型地震などの大規模地震時における継手の離脱が懸念されており、対策技術の開発が求められています。
そこで、新設と既設の両方のFRPM管を対象に、継手の離脱を防止する技術を開発しました。新設のFRPM管では、図1に示すように、管体に離脱防止用ゴムと突起を設置して、継手の離脱を防止します。また、既設のFRPM管では、図2に示すように離脱防止部材を管の端面に設置して、継手の離脱を防止します。いずれの技術とも簡便に施工することができます。性能試験の結果、従来の継手構造と比較すると、離脱防止継手は10倍以上、離脱防止部材は8倍以上の離脱荷重になることを確認しています。本技術を用いることで、地震時の継手の離脱を防止し、地震に強い管路を構築することができます。
予算:共同研究(研究資金提供型)「小中口径管路を対象とした管更生技術の開発」、農研機構運営費交付金