プレスリリース
ニンニクりん茎の長期貯蔵温度は-2°Cが最適

情報公開日:2007年6月25日 (月曜日)

要約

東北農業研究センターでは、国産のニンニクを1年中、安定して供給できる品質保持技術の開発に取り組んでいます。これまでに、ニンニクの周年出荷に不可欠な長期貯蔵の条件について検討した結果、品質を保つために最適な貯蔵温度条件は-2°Cであることを明らかにしました。


詳細情報

背景とねらい

ニンニクは、通常年1回しか収穫されないため、周年供給するにはりん茎の長期貯蔵が不可欠です。長期貯蔵のために使用された萌芽抑制剤が平成14年に農薬登録から抹消されて以降、周年供給には氷点下での貯蔵が基本技術となっています。しかし、貯蔵温度によっては、凍結や障害、流通過程での萌芽・発根などが発生する場合があり、高品質な国産ニンニクを安定して周年供給できる技術の確立が望まれています。そこで、最適な貯蔵条件を明らかにするため、主要品種である「福地ホワイト」を用いて、ニンニクの品質と貯蔵温度との関係を調査しました。

成果の内容・特徴

  • 芽、根の伸長がほぼ停止した状態で10か月間貯蔵するには、-1°C以下の条件が必要です(図1)。
  • 貯蔵中の凍結の回避には、-3°C以上で貯蔵する必要があります(図2)。
  • -3°C以下で長期間貯蔵すると、りん片表面のくぼみや変色、りん片と外皮との間に隙間ができるなどの低温障害が発生しやすくなります(図3)。
  • 貯蔵終了後、常温に置いた時の芽の伸長は、貯蔵温度が低いほど抑えられます。
  • これらの結果を総合すると、ニンニクりん茎の長期貯蔵には-2°Cが最も適すると考えられます(表1)。
  • 温度が-2.0°Cより低くなるとりん片と外皮の間に隙間が発生する危険性が高まるので、実用場面では貯蔵庫の平均温度が-2.0~-1.5 °Cになるような制御が望ましいと考えられます。
  • 本研究は、青森県農林総合研究センター畑作園芸試験場と協力して実施したものです。

図1 貯蔵中の芽の伸長に及ぼす貯蔵温度の影響

図2 凍結発生に及ぼす貯蔵温度の影響

図3 りん片表面のくぼみの発生に及ぼす貯蔵温度の影響

表1 ニンニクりん茎の品質と貯蔵温度との関係

用語説明

りん茎
短縮した茎のまわりに密についた葉が肥厚して多肉化したもの。 例)タマネギ、ニンニク、チューリップ、ユリの球根など

りん片
ニンニクの食用部ひとかけに相当する部分。

萌芽
球根や樹木などの芽が発芽すること。

ニンニクのりん茎 ニンニクのりん片 萌芽したりん片
(左)ニンニクのりん茎 (中)ニンニクのりん片 (右)萌芽したりん片