東北農業研究センターは、不耕起で大豆を栽培する前の冬作に大麦を栽培すると、雑草を抑えるカバークロップ効果により、大豆の収量を20%程度増加させることができることを実証しました。条件の良い場合にはカバークロップの栽培だけで除草剤を使わない栽培も可能です。
背景とねらい
食品に対する安全・安心への期待の高まりから、除草剤などの資材の使用を極力減らした栽培技術の開発が求められています。一方、東北地方では気象条件の制約から畑作物は単作となっており、一年のうちのかなりの期間、農地があいているのが現状です。しかし、収穫を目的としないカバークロップなら栽培可能期間が短くても導入しやすく、雑草防除等に活用することが期待されます。さらに、不耕起栽培では土の中にある雑草の種子が発芽しにくく、カバークロップによる雑草防除効果が高まることがわかっています。そこで、大豆栽培において、カバークロップと不耕起条件を積極的に活用して雑草を抑える技術の開発を行っています。
成果の内容・特徴
- この技術は、大豆栽培で、雑草防除を目的として、前作にカバークロップとして大麦を栽培するものです。大麦は、大豆の播種時に未熟な子実を含む地上部のすべてを細断して地表面に敷きます(図1)。
- カバークロップに大豆の狭畦栽培(30cm程度)を組み合わせると、中耕などの中間管理を行わなくても雑草の量を減らし、大豆の収量を最大で20%程度高めることができます。その効果は、大豆の播種時に除草剤を散布することでさらに高まります(図2)。
- カバークロップで雑草の量が減るのは、カバークロップが地表面を覆うことで出芽する雑草の数が減るためです(図3)。
- この技術には、雑草を抑えて大豆の収量を高めるだけでなく、有機物の投入による地力維持効果なども期待されます。今後、こうした機能についても検討しながら、いろいろな場面で採用が可能な技術にしていくことをめざします。
- 本研究成果は、農林水産省受託研究「生物機能を活用した環境負荷低減技術の開発」により得られたものです。