- 平成16年に襲来した台風15号、16号及び18号は、日本海沿岸を北上し東北地方の農作物に多大な被害をもたらしました。特に台風15号は、秋田県・山形県など日本海側各県において、水稲では葉枯れや白穂ならびに穂の褐変を、大豆では葉の褐変や落葉等の潮風害を発生させ、農作物の被害額が約340億円にも上る大きな災害となりました。
- そこで、東北農業研究センターでは、秋田県・山形県の農業試験場・農業改良普及センター及び農業環境技術研究所の協力を得て、「潮風害による被害の実態解明と被害解析」に関わる緊急研究を実施したところです。
- 今回、その調査・解析結果を速報的に取りまとめ、今後予想される気象変動に対応するための基礎資料に供する目的で、本資料を刊行いたしました。
- 本資料の概要
平成16年の気象経過や気象モデルによる台風通過時の気象再現実験、台風15、16、18号による水稲・大豆の潮風害の実態解析、局地気象モデルを用いた潮風害影響評価モデルの構築と水稲・大豆の被害量の推定、今後の早期警戒ツールとしての可能性、さらに潮風害を受けた作物の飼料化の可能性など、基礎的解析から応用まで、幅広い内容となっています(別紙)。 - この資料は1000部印刷し、東北地域を中心に行政、普及、試験研究などの機関に配布し、それぞれの場で活用していただければ幸いです。主な配布先は、次のとおりです。
東北6県: 農林水産関係行政部局、農業改良普及センター、研究機関、農業協同組合関係
その他(東北を含む): 農林水産省関係機関、国公立農林水産試験研究機関、独立行政法人試験研究機関、大学、報道機関 - 問い合わせ先
〒020-0198 岩手県盛岡市下厨川字赤平4
東北農業研究センター 企画調整部情報資料課
Tel: 019-643-3414 Fax: 019-643-3588
プレスリリース
「東北地方における平成16年産水稲・大豆の潮風害の実態と解析」の刊行について
情報公開日:2005年7月21日 (木曜日)
詳細情報
別紙
(本資料の構成)
第1章 平成16年気象の経過
- 気象経過
- 現地気象観測および再現実験による台風15号通過時の気象条件の解析
第2章 台風15、16、18号による水稲・大豆に対する潮風害の実態解析
- 秋田県
台風の進路と特徴、被害面積と被害額、通過時の気象経過と被害地域、水稲・大豆の生育時期と被害、潮風害の 実態把握と被害の特徴、海岸からの距離と潮風の及ぶ範囲、潮風による収量・品質への影響、今後の対応策、 まとめ(被害を拡大した要因) - 山形県
2004年台風15号の気象的特徴の解析、水稲の被害状況、大豆の被害状況 - 水稲における潮風被害の実態
第3章 潮風害影響評価モデルの構築と水稲・大豆の被害量の推定
- モデルの概要
局地気象モデル、塩分生成・輸送モデル、塩分沈着量分布の計算 - 秋田県
方法、風速分布、塩分沈着量分布、潮風害の被害評価 - 山形県
方法、風速分布、塩分沈着量分布、潮風害の被害評価
第4章 潮風害を受けた作物の飼料化の可能性
潮風害を受けた作物の無機成分、潮風害作物の飼料成分
要約
被害の甚大な海岸近くの水田における調査風景(秋田県象潟町)2004年9月3日撮影
気象モデルから推定した塩分沈着量の分布(上)と潮風害の被害マップ(下)