プレスリリース
生育中の作物根を染め、個体識別ができるマルチカラー染色法を開発

- 根からみた最適な作物栽培法、耕うん法、施肥法などの開発に期待 -

情報公開日:2005年5月25日 (水曜日)

植物は、農業にせよ自然環境にせよ、孤立して生育していることはなく、他の植物と競争や相互扶助をしながら生育しています。葉や茎などの地上部分では、そういった相互の関係が詳しく研究されていますが、根部ではあまり研究が進んでいません。これは、1本の植物の根を他のものから分けて識別する良い方法がないことが大きな理由です。もし個々の植物の根を異なる色で染めて識別できれば、根の分布や個体間の関係がわかり、新しい栽培方法の開発につながることが期待されます。そこで、土に植わっている植物の根をそのままの状態で染め、識別する方法の開発をめざしました。

根のマルチカラー染色法とは

次ページの(a)に示すような簡単な装置を考案しました。植物が萎凋する程度にポットの土を乾燥させ、この装置で切り花着色液(ファンタジー)を1.5気圧の圧力で根に注入します。すると(b)のように根が染め分けられます(トマトの例)。土を洗い流すと、(c)のようになり、根は細根までよく染まり、両方の株の根の分布関係が容易にわかるようになります。

この技術により、根から見た最適な作物栽培法、耕うん法、肥料や堆肥の施用方法などの研究が大きく進むと期待されます。今後は、圃場やハウスで生育する作物の根染色法や根の立体標本作製法を開発して、より有効な技術に高めて行きたいと考えています。

写真 根のマルチカラー染色法