プレスリリース
イチゴ新品種「なつあかり」、「デコルージュ」

- 夏秋にもおいしいイチゴを!!!四季成り性の新品種 -

情報公開日:2004年10月 1日 (金曜日)

要約

イチゴ新品種「なつあかり」は四季成り性で、果実が大きく、食味が優れるため、夏秋期の生食用として利用できます。「デコルージュ」は四季成り性で、うどんこ病に強く、果実が硬く、果の揃い、光沢、果実外観が優れるため、夏秋期のケーキ用として利用できます。

育成のねらい

国産イチゴの端境期の7~10月にはケーキ用イチゴが大量に輸入されていますが、品質の優れた、美味しい国産イチゴが求められています。また、生食用の高品質イチゴを夏秋期に生産できれば、贈答用などの新規需要が期待できます。四季成り性品種は、夏秋どり生産を容易にしますが、育種の歴史が浅いため、品質が優れ生産者が自由に利用できる品種はごく少なく、夏秋期の生産拡大が進みませんでした。そこで、夏秋期の国産イチゴの生産を増やすため、果実品質が優れた四季成り性イチゴ品種を育成しました。

育成経過と特徴

  • 「なつあかり」は、四季成り性で大果の「サマーベリー」に、一季成り性の大果で硬い「北の輝」を交配し、また、「デコルージュ」は果実が硬く、揃いの優れる一季成り性の「Pajaro」に、四季成り性の「イチゴ盛岡26号」を交配し、1994年から選抜を続けました。2001年から3年間、全国で試験を実施した結果、「なつあかり」は、特に食味が優れるため、生食用としての利用が可能な四季成り性新品種として、「デコルージュ」は、果実外観が優れるため、ケーキ用の四季成り性新品種として有望と判定されました(図1、表1)。
  • 「なつあかり」は、果数及び収量はやや少ないですが、商品果率はやや高い傾向がみられます(表2)。果実は大きく、円錐形で、やや軟らかく、果皮は赤色で、糖度が高く、食味が大変優れ、日持ち性や外観も優れています(表3)。
  • 「デコルージュ」は、うどんこ病に強い抵抗性を持ち、果数はやや少ないですが、商品果率が高く、収量及び商品果収量は「サマーベリー」と同等です(表2)。果実は円錐形で硬く、果皮は濃赤色、そう果(タネ)は表皮よりやや飛び出すものの、果実の光沢や果実の揃いは優れ、糖度が高く、食味、日持ち性や外観も優れています(表3)。

活用面・留意点

  • 両系統とも、寒冷地や高冷地での栽培に適し、国産イチゴの端境期である夏秋期に連続して花がつき、果実を収穫できます。
  • 「なつあかり」は、低温遭遇量が少ないとランナーの発生量が減るため、増殖用の親株は低温に十分遭遇させるようにして下さい。
  • 「デコルージュ」は、草勢がやや弱いですが、肥培管理により草勢を強くすることによって収量増加が見込まれます。また、花房当たりの着果数は多すぎず、果実の揃いが優れるので、摘果・摘花房は最小限にとどめて下さい。

詳細情報

図1 「なつあかり」と「デコルージュ」

表1 全国60人に聞きました「一番おいしいイチゴはどれ?」

表2 「なつあかり」、「デコルージュ」の収量性

表3 「なつあかり」、「デコルージュ」の果実特性

写真 ショートケーキ

図2 イチゴの月別輸入量