- 平成15年、東北地方の水稲作では、障害型や遅延型の冷害に穂いもちの被害も加わり、東北全体の作況指数は80で、平成5年につぐ10年ぶりの冷害になりました。
- このたび、東北農業研究センターでは、平成15年以降の稲作の参考のため、そして今後の異常気象、特に冷害回避に有効な技術の早期提供を目指す研究課題を明確にするため、東北各県に協力いただき「東北地方における平成15年異常気象による被害の実態と解析」を刊行しました。
- 本書の概要
水稲関係では、平成5年の冷害を契機に開発された水稲冷害早期警戒システムの効果、堆肥や堆厩肥施用と冷害の関係、航空機を飛ばしての穂いもちの調査解析、平成5年冷害時との比較で冷害と農業経営を解析するなど、平成5年の際の調査解析よりも相当工夫された内容になっています。(別紙参照) - この資料は1,200部印刷し、東北地域を中心に行政、普及、試験研究などの機関に配布し、それぞれの場で活用していただければ幸いです。主な配布先は、次のとおりです。
東北6県:
6県の農林水産関係行政部局、農業改良普及センター、研究機関、農業協同組合関係
その他(東北を含む):
農林水産省関係機関、国公立農林水産試験研究機関、独立行政法人試験研究機関、大学、報道機関
プレスリリース
「東北地方における平成15年異常気象による被害の実態と解析」の刊行について
情報公開日:2004年6月10日 (木曜日)
詳細情報
[別紙]「東北地方における平成15年異常気象による被害の実態と解析」の概要
1) 平成15年気象の経緯と各作物の被害実態
- 気象経過と気象変動の特徴
図 宮城県古川市の水田地帯の航空写真
(褐色の濃い水田にいもち病が多発) - 水稲の生育・収量の特徴と被害様相
- 畑作物、野菜、牧草・飼料作物、果樹における生育・収量の特徴と被害様相
2) 平成15年異常気象による水稲被害の解析と今後の対応
- 障害型冷害の早期予測
早期警戒システム、花粉稔性による受精可能性の推定、作物モデルによる水稲冷害の推定と作期移動による被害軽減効果の解析 - 水稲品種の障害型耐冷性
- 栽培法と冷害
水稲生育診断圃における冷害解析、深水管理の実施状況と今後の課題、堆肥,堆厩肥施用と冷害の関係 - いもち病等
東北農業研究センター、岩手県及び宮城県との共同研究で、穂いもち大発生地帯を対象に9月15日正午頃,高度約2,000mで測定し(図)、リモートセンシングとそれを利用した被害解析を行った。この写真で画像解析したものと地上部調査した穂いもち被害度との間には密接な関係があり,地上からの穂いもち被害調査を対象全圃場で行わなくても,航空撮影により被害度を推定できた。推定された被害度と圃場の栽培履歴から,穂いもち被害度と前作の影響,農家間の技術格差,薬剤の効果の関係が明らかになった。 - 冷害年における飼料イネの硝酸態窒素濃度と栄養価(本日、プレスリリース)
- 冷害と農業経営
平成5年冷害時の調査対象農家について,農業経営からみた平成15年冷害被害の特徴,大規模水田作経営における冷害の影響,冷害対応技術としの水稲冷害早期警戒システムの効果について検討した。