ポイント
農研機構は、東北地域向けに、倒伏しにくく暑さにも強い直播栽培向きの多収良食味水稲品種「しふくのみのり」を育成しました。「ひとめぼれ」並の良食味で、「ひとめぼれ」より標肥直播栽培1)で約1割、多肥直播栽培1)で約3割多収となります。また、いもち病に強く、
概要
近年、調理された米を購入し家庭で食べる中食や外食向けの米(業務用米)の消費量は増加傾向にあり、低コストで栽培できる業務用米向け水稲品種の需要が高まっています。一方、温暖化の進行に伴い、東北地域でも登熟期間中の高温による玄米外観品質の低下が問題となってきています。
農研機構はこれまでに、東北地域向けの業務用米に適した多収良食味水稲品種「萌えみのり」を育成し、作付けが拡がっています。しかし「萌えみのり」は、いもち病や暑さに弱いという問題がありました。そこで今回、いもち病や暑さにも強い東北地域向けの業務用米に適した多収良食味水稲新品種「しふくのみのり」を育成しました。
「しふくのみのり」は「萌えみのり」並みに倒伏に強く、直播栽培向きで、多収です。育成地においての収量は標肥直播栽培で641kg/10a(「ひとめぼれ」より約1割多収)、多肥直播栽培で754kg/10a(「ひとめぼれ」より約3割多収)です。炊飯米の食味は「ひとめぼれ」と同等の良食味です。これらの特長に加え、暑さ(登熟期間中の高温)に強く、いもち病と縞葉枯病にも強い品種です。
業務用米に適した品種として、秋田県で令和3年度に200haの作付けが計画されています。
関連情報
予算:  農研機構生研支援センター「革新的技術開発・緊急展開事業(うち先導プロジェクト)」
品種登録出願番号:  第33837号 (令和元年8月30日出願公表)
お問い合わせ先など
研究推進責任者
  農研機構東北農業研究センター 所長 湯川 智行
研究担当者
  同 水田作研究領域 水稲育種グループ長 太田 久稔
広報担当者
  同 地域戦略部研究推進室長 佐藤 百合香