露茜の開花の写真
梅は昔から日本人の生活と関係の深い果樹です。花は万葉の時代から貴族を中心に愛され、桜より早く咲いて、私たちに春の訪れを知らせてくれます。果実を利用した梅干し、梅酢、梅酒などは重要な日本食の素材です。梅の実が熟す頃の雨の季節は梅雨と呼ばれます。
梅の品種は400種以上もありますが、最近、農研機構 果樹研究所では、これまでにない特徴を持つ新しい梅品種「露茜(つゆあかね)」を育成しました。「露茜」は、近縁種の日本スモモとの交雑により、赤肉の特徴を果実に導入したもので、果皮は全面に赤く着色し、果肉も鮮紅色に着色します。
「露茜」は、酸味が多く、生で食べることはできませんが、梅酒や梅ジュース、梅ジャムにするときれいな紅色になります。赤色の果汁を生かした梅加工品など、新需要を見込める素材です。多くの梅は収穫期が6月ですが、「露茜」は少し遅く、育成地の茨城県では、7月中旬頃が収穫期となります。
現在、品種登録から間もないため、出荷されていませんが、茨城県や宮崎県で植栽が進んでいます。
露茜の果実
露茜の梅ジュース(左)と梅酒(右)