「旬」の話題

ミカンとβ-クリプトキサンチン

β-クリプトキサンチンを多く含むミカン新品種「西南のひかり」冬場を中心に出回るミカンは様々な栄養素が詰まった美味しい果物です。とりわけ熱に分解されやすいビタミンCは多く含まれ、生で効率良く摂ることができます。疲労回復に良いとされるクエン酸、便秘に良いとされる食物繊維ペクチンなども多く含まれています。

さらに、今、温州ミカンに多く含まれるβ-クリプトキサンチンの効果が注目されています。β-クリプトキサンチンは、ニンジンに多いβ-カロテン、トマトに多いリコペン、緑色野菜に多いルテインなどと同様、人の血液中に存在する主要カロチノイドの一つです。これまでの国内外の研究により、β-クリプトキサンチンがいくつかの種類のガン、糖尿病、関節リウマチ、動脈硬化等の発生リスクを低下させる可能性があることが示されてきました。

果樹研究所によるミカンのβ-クリプトキサンチンの効果に関する記者発表の様子(平成24年12月21日)農研機構果樹研究所は、浜松医科大学健康社会医学講座、浜松市と合同でβ-クリプトキサンチンに関する栄養疫学調査(三ヶ日町研究)を行っています。最近の研究から、β-クリプトキサンチンの血中濃度が高い閉経女性では骨粗しょう症の発症率が顕著に低いことが判明しました。女性は閉経するとホルモンバランスが変わり骨粗しょう症にかかりやすくなりますが、β-クリプトキサンチンの豊富な温州ミカンの摂取が健康な骨の維持・形成に有用である可能性が見いだされました。この研究成果は、平成24年12月に米国の総合科学誌「PLOS ONE」で公開されるとともに、多くの新聞・テレビで報道され、インターネット上にも各種の記事が掲載されています。

ミカンはこのように優れた果物ですので、温州ミカンやその後出回る各種の晩カン類を多くとりたいものです。また、四季に恵まれた我が国には、年間を通して世界に誇れるすばらしい果物が沢山あります。農研機構が開発した果物品種の旬を紹介するフルーツカレンダーを作成しましたのでご興味のある方はダウンロードしてご活用下さい。

報道機関での紹介