みどりの技術カタログ

水田の水管理によるメタン削減(中干し期間の延長)

温室効果ガス
作目水稲
技術の概要

水田土壌内にはメタン生成菌が存在し、嫌気条件下で稲わらなどの有機物をエサに温室効果ガスであるメタンを発生させる。中干しとはイネの生育調整を目的として一時的に水田から水を抜く従来からの水管理技術である。 中干し期間を通常よりも延長することで土壌中により多くの酸素を供給するとメタン生成菌の活動が抑制され、メタン排出量が低減する。湛水と落水を繰り返す間断灌漑と組み合わせることでより効果的にメタン発生量の削減が可能である。

効果

1週間の延長でメタン発生量を30%削減

全国8県の試験結果から、各地域毎の慣行の中干し期間を一週間程度延長することで、メタンの発生量が約30%削減されることが示されている。

適切な延長によるコメの品質向上効果

登熟歩合が向上し、タンパク質含量の低下が認められるなど、収穫したコメの品質の向上が示されている。

導入の留意点
  • 中干し期間の過度な延長には収量減の可能性

    水田の状態、イネの生育状況など栽培地域の実情を踏まえ、適切な範囲での期間延長に留める必要がある。

  • 自動水管理の活用可能性

    落水・再湛水を繰り返す精緻な水管理を省力的に行うために「自動水管理システム」の導入も注目されている。

その他(価格帯,改良・普及状況,適応地域)

価格帯

原則無料。中干しを延長することによる追加的な費用の発生は無い。

農林水産省の環境直接支払い交付金の対象技術の一つになっている。

2023年にJクレジット制度の方法論に登録されたところ。

関連情報

・水田メタン発生抑制のための新たな水管理技術マニュアル((国研)農研機構 農業環境変動研究センター(平成24年))

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