みどりの技術カタログ

水田土壌のカリ収支を踏まえた水稲のカリ適正施用指針

肥料
有機農業
作目水稲
技術の概要

カリは肥料三要素の一つだが、減肥~無施肥でも水稲生育に問題がない場合も多い。そこでカリ減肥下での水稲の生育と水田のカリ収支を調査し、減肥が可能になる条件を解明した。 稲わら還元(すき込み)がされており交換態カリが20mg K2O/100g以上の低地土水田では、水稲のカリ施肥を標準の半量にできる。稲わら還元と併せて牛ふん堆肥1t/10a以上が施用される場合、当作のカリ施肥を省略できる。 水田のカリ収支の模式図。稲わらを還元する場合、標準の半量(ここでは3kg/10a)の施肥で収支は±0となりカリの減耗を防げる。 牛ふん堆肥を施用するとカリは10kg/10a以上のプラスになる。

効果

施肥コストの削減効果

カリ施肥量を半減することで肥料代を10aあたり1,056円削減できる。これは2018年度の肥料価格に基づく試算だが、肥料が高騰している場合はコスト削減効果がさらに大きくなる。

堆肥施用によりカリ施肥を代替可能

有機農業での水稲作に活用できる。

導入の留意点
  • 交換態カリ量の把握と維持が必要

    土壌診断を励行し、交換態カリが減肥可能な条件( 20mg K2O/100g以上)にあることを把握した上で減肥を行う。また土性が砂土(S)、壌質砂土(LS)、砂壌土(SL)といった粗粒質の土壌はカリが溶脱し減少しやすいので、CEC(陽イオン交換容量)が 12me/100g以上の場合を除き、減肥の対象としない。

その他(価格帯,改良・普及状況,適応地域)

導入が可能な水田面積

低地土の水田のうち交換態カリが20mg K2O/100g以上のもの(全国で約80万haと推算される)

関連情報

・水田土壌のカリ収支を踏まえた水稲のカリ適正施用指針 (本編および資料集)((国研)農研機構 中央農業研究 センター(令和3年))

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