みどりの技術カタログ

暖冬でも安定して生産できるモモ品種「さくひめ」

その他
(気候変動の対応)
作目モモ
技術の概要

わが国のモモ品種は、花が咲くために冬季に7.2°C以下の低温に1,000時間~1,200時間さらされる必要がある。地球温暖化の進行により、今後、モモが開花できない栽培不適地が西日本で拡大すると予想されている。 低温要求量が少ないものの果実品質が劣るブラジルのモモ品種「Coral」とわが国のモモ品種との交雑を進めて、従来の主要品種の半分程度となる555時間の低温要求量でも栽培可能なモモ新品種「さくひめ」を育成した。 「さくひめ」は早生の主要品種の「日川白鳳」より数日早く収穫でき、果実の大きさや糖度は「日川白鳳」と同程度である。

効果

暖冬年および温暖化が進行しても安定して開花する

従来の品種の開花が不安定となるような冬季の温度上昇でも開花するため、温暖化が進行した条件においてもモモの安定生産が維持できる。

早生品種に多い核割れの発生が少ない

「日川白鳳」などの早生品種では、核割れの発生が多いが「さくひめ」は発生が少なく、健全果率が高い。

導入の留意点
  • 一般的なモモ品種よりも開花期が早くなるため晩霜害の発生リスクは高くなる

    晩霜害の発生しやすい地域での栽培には適さない

その他(価格帯,改良・普及状況,適応地域)

価格帯

苗木1本あたり1,500円~2,000円

改良・普及の状況

2017年~2022年で苗木6,024本販売

適応地域

西南暖地のモモ産地

関連情報

農研機構研究報告 果樹茶業研究部門 第3号 | 農研機構 (naro.go.jp)

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