大B05 (株)紅梅夢ファーム(福島県南相馬市)
実証課題名
担い手と労働力の確保が著しく困難な条件下で、非熟練労働力を活用しつつ高レベルで均質な農産物の生産と規模拡大を実現する技術体系の実証
経営概要
57.9ha(水稲47.3ha、大豆4.3ha、タマネギ0.4ha、菜種5.8ha)
うち実証面積:水稲47.3ha
うち実証面積:水稲47.3ha
導入技術
①ロボットトラクタ ②高速汎用施肥播種機 ③直進キープ機能付き田植機 ④ほ場水管理システム ⑤農業用ドローン ⑥食味・収量測定コンバイン ⑦営農支援システム(KSAS)
目標
- 被災地で営農再開する水稲大規模経営において、スマート農業を実証するため、以下の目標を設定した。
- 生産物の高品質・安定化...
①等級検査で全量1等米を維持
②収量が浜通りの平均収量を下回らない
③新規作付ほ場の米の食味が、継続作付ほ場と同水準
④食味のバラツキが実証前(H30年)より小さい
⑤納入先の検査による検査不合格品が出ない(R1)
⑥実証期間内でJGAPを取得(R2) - 収益性向上...生産費を12,000円/60kg以下(※機械費・施設費は補助事業活用を想定)とする
- 非熟練者の早期技術習得...
①非熟練者の面積当たりの作業時間が、熟練者と同水準となること
②非熟練者の疲労・ストレスの蓄積状態が熟練者並であること
- 生産物の高品質・安定化...
目標に対する達成状況
- 全量1等の目標は達成できなかったが、1等米比率は、41%(R1)から75%(R2)に向上した。
- 令和元年産収量は、地域平均を上回ったものの、令和2年産は、獣害等で地域平均を下回った。
- メッシュマップを活用した可変施肥により、収量と玄米タンパク質含有率のほ場内の差は少なくなった。
- 直播栽培とスマート農機の導入により、生産費は移植・直播栽培ともに9,000円/60kg程度に抑えられた。
- 直進キープ機能付き田植機等の活用で、非熟練従業員が熟練者と同水準の作業効率を発揮できた。
導入技術の効果
直進キープ機能付き田植機
- 移植作業調査では、総作業時間の52%で自動直進機能を使用できた。
- 平均旋回時間は、熟練者が15秒/1旋回、非熟練者が22秒/1旋回であったが、後半は非熟練者も熟練者に近づき、旋回の上達が見られた。
- 旋回径も、非熟練者は熟練者に比べ、平均で25cmほど大回りする傾向にあったが、回数を重ねることで上達が見られた。
ほ場水管理システム
- WATARASの導入により、熟練者2名で行っていた水管理を非熟練者1名で行うことが可能となり、かつ作業時間も短縮された。
- 水位確認時、車から降りて確認する時間が削減され、土のう・堰板の設置撤去などの労力も低減されたことから、作業者からも負担が軽減されたとの主観評価が得られた。
(※R2年度実証データより)
食味・収量測定コンバイン
- コンバイン採録データから収量と玄米タンパク量のメッシュマップを作成した。
- R1年度ほ場内のほ場内の収量ムラが見られたが、R2年度に可変施肥を実施したところ、ムラが少なくなった。
事業終了後の普及のための取組
- 得られたデータを活かし、被災地をはじめ、県内へのスマート農業機械の導入を支援する。
- 新規就農者の育成・習熟に本技術体系を取り入れ、営農再開地域の更なる農業雇用の拡大を目指す。
- 地元農業高校や農業短期大学校における農業教育に実証内容を活用し、先端技術の波及を図る。
問い合わせ先
福島県農業総合センター企画経営部
Tel.024-958-1700
関連リンク
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