品種詳細

TL4-027

「TL4-027」はタキイ種苗株式会社と野菜茶業研究所(現農研機構野菜花き部門)で共同育成した品種で、市販名は「L4京鈴」である。現在日本で発生している2種類のペッパーマイルドモトルウイルス(PMMoV:P1.2およびP1.2.3)の双方に対して抵抗性を示すL4遺伝子を保有し、植物体特性および収量性は「京鈴」に類似した生食用品種である。

主要特性

  • 「L4京鈴」は、青果用ピーマンF1品種であり、その種子親は「京鈴」の種子親と同一である。一方、その花粉親は以下のように育成した固定系統である。すなわち、L4遺伝子を保有するトウガラシ近縁種(Capsicum chacoense)のPI260429にピーマン固定系統 LS3973を6回連続戻し交雑した系統に、ピーマンF1品種「Atlantic」、「京波」の父親系統および「京鈴」の父親系統を交雑した後、選抜・自殖して得た固定系統である。
  • 「L4京鈴」は、未熟果色が緑色の中長型ピーマンである。
  • 「L4京鈴」の第1分枝の節位、節間長、未熟果色、果形、果実の長さ、早晩性および収量性などの諸形質は「京鈴」に類似する(表1)。
  • 「L4京鈴」はPMMoV(P1.2.3)に対して過敏感反応型の抵抗性を有するため、ウイルスに感染しても局部病斑が認められるだけでモザイク症状を生じることはなく正常に生育する(表2)。

栽培での留意点

本品種の過度の連作により、L4遺伝子による抵抗性を侵す新たなPMMoV系統が発生する可能性がある。そのため、本品種の栽培はL3遺伝子を持つ品種に被害が出ている産地に限定するとともに、同一産地での長期連用は控える。

図1「L4京鈴」(原図 タキイ種苗(株))

表1 「L4京鈴」の植物体特性(2006年:タキイ種苗研究農場)および収量性Z(2006年:野菜茶業研究所)

表2 PMMoV(P1.2.3)接種検定結果(2006年:タキイ種苗研究農場)

出願番号
(出願日)
公表日 登録番号
(登録日)
育成者権の存続期間
23637
(2009年3月30日)
2010年6月14日 20761
(2011年3月28日)
25年
(満了日:2036年3月28日)
交配組み合わせ 旧系統名
TPE-027