品種詳細

省太

「省太」は、着果促進処理の省力化と冬季においても優れた外観品質を有することを目標として福岡県と農研機構で共同育成した単為結果性の一代雑種(F1)品種です。育成母本には長ナス品種の「筑陽」および「黒陽」(ともにタキイ種苗株式会社育成)と、単為結果性を有するナス系統「AE-P03」および「AE-P08」(ともに農研機構育成)を使っています。これらのF1から育成した半数体倍加系統が交配親である「省太」は、促成栽培期間において強い単為結果性があり、総労働時間の約25%を占める着果促進処理を省略することができます。また、果実の外観品質は良好で「筑陽」と比較して曲がり果や冬季の首細果が少なくなります。さらに、焼きナスにすると歯ごたえのある食感や果実の甘みが「筑陽」より優れる特徴があります。

主要特性

  • 「省太」は「AE-P03」や「AE-P08」と同等またはそれ以上の強い単為結果性を持つため(表1)、促成栽培期間においては着果促進処理をしなくてもほとんどの果実が正常に肥大し、正常に肥大する果実の割合は着果促進処理をした「筑陽」と同じくらいです。しかし、夜温が20°C以上になる夏季は単為結果性が不安定となり落花や石ナス果が発生しやすいため、高温になりすぎない温度管理が重要です。
  • 「省太」の果実は、「筑陽」と同じ長さでもヘタ付近や一番太い部分がともに太く、冬季(12~2月)では果実重が約130gとボリューム感に優れます(表2)。また、「省太」は、「筑陽」と比べると収穫果数が少ないですが果実重が重いため、商品果収量は同程度になります(表3)。
  • 「省太」は果皮の光沢が強く果実の外観品質が優れます。さらに、「筑陽」に比べて冬季に曲がり果や首細果の発生が少なく、ボリュームのある品質の良い果実が生産できます(表2)。
出願番号
(出願日)
公表日 登録番号
(登録日)
育成者権の存続期間
26777
(2012年2月28日)
2012年6月19日 23400
(2014年5月 2日)
25年
(満了日:2039年5月 2日)
交配組み合わせ 旧系統名
福岡なす母本1号×福岡なす母本2号 福岡なす10号


図1 「省太」