品種詳細

夕紅(ゆうべに)

カキ品種「夕紅」は、「松本早生富有」に「F-2」(次郎×晩御所)を交雑して育成した完全甘ガキです。果実成熟期は「富有」とほぼ同時期の晩生で、果皮色は赤味が強く、食味良好です。年と場所により後期落果しやすいこと、また雌花の着生が少ない場合があるので栽培上注意が必要です。

主要特性

  • 果実の甘渋性は完全甘ガキです。果実成熟期は「富有」とほぼ同時期の晩生です。果形は「富有」より扁平ですが、「富有」と同程度の大きさです。 果皮色が「富有」より赤く(広島県安芸津町である育成地ではカラーチャート値で8程度)、汚損果の発生も少ないので外観は良好です。へたすき、果頂裂果の発生も少なく、日持ち性も「富有」とほぼ同程度に良好です。肉質の粗密は「富有」と同程度またはやや緻密で、適熟果の果汁は多く、糖度も17.5%程度で「富有」よりやや高いので、食味は良好です。種子数は平均1個程度で非常に少ないです。
  • 樹勢は中程度で、樹姿は「直立」と「開張」の中間です。雄花は着生しません。雌花の開花期は「富有」とほぼ同時期で遅いです。雌花の着生程度は「富有」、「平核無」、「伊豆」などより少ないです。 雌花の少ない年は収量が少なくなる場合があります。単為結果力が強いので早期落果は非常に少ない一方、種子形成力は極めて低いので無核の果実が多く結実します。しかし、後期落果性があり、年と場所により8~9月に果実が落果しやすいです。これを制御できる技術は確立されていないので、収量は不安定です。「富有」と同様の防除を行えば、めだった病虫害は認められません。

表1 育成地(広島県安芸津)における「夕紅」の特性

表2 各場所における「夕紅」の特性

結実状況
結実状況

出願番号
(出願日)
公表日 登録番号
(登録日)
育成者権の存続期間
9772
(1997年4月11日)
1999年3月18日 8555
(2000年12月22日)
25年
(満了日:2025年12月22日)
交配組み合わせ 旧系統名
松本早生富有×F-2(次郎×晩御所) カキ安芸津11号

栽培適地

一般に「富有」栽培地域に適応しますが、北陸地方沿岸部でも渋味は認められていません。 

農林認定品種(旧:命名登録品種)

登録番号:かき農林8号

登録年月日:1997年8月1日

育成担当者

山根弘康、栗原昭夫、山田昌彦、永田賢嗣、岸 光夫、吉永勝一、平川信之、佐藤明彦、松本亮司、岩波 宏、角 利昭、平林利郎、小澤俊治、角谷真奈美、金戸橘夫、中島育子

発表論文

果樹研究所研究報告2号, p.65-75(2003-03) : カキ新品種‘夕紅'