品種詳細

ハニービーナス

「ハニービーナス」は「紅瑞宝」に「オリンピア」を交雑して育成した4倍体の黄緑色ブドウです。果粒は9g程度の大粒で、高糖度です。「巨峰」よりも結実性良好で栽培性に優れています。

主要特性

  • 昭和55年(1980)に果樹試験場安芸津支場(現カキ・ブドウ支場)において「紅瑞宝」に「オリンピア」を交雑して育成した4倍体の系統です。
  • 平成4年(1992)から系統番号「ブドウ安芸津19号」として、全国34か所の場所においてブドウ第8回系統適応性検定試験を行って検討を続けた結果、平成10年(1998)1月の同試験成績検討会において新品種候補として適当であるとの結論を得ました。
  • 樹勢は「巨峰」と同程度で強く、「巨峰」と同様の防除を行えば、目立った病害の発生は認められていません。「巨峰」より花振るい性が小さく、結実性が良好で、容易に350~450gの有核の良房を得ることができます。
  • 収穫期は「巨峰」とほぼ同時期で、果皮の色は黄緑色です。果粒重は9g程度で、「巨峰」よりやや小さく、「ネオ・マスカット」より大きいです。果粒形は短楕円で、裂果性はほとんどありません。果肉特性は「巨峰」と同様の崩壊性と塊状の「中間」です。糖度は「巨峰」より高く、育成地では21%です。酸含量は「巨峰」と同様の0.5g/100ml程度で、やや未熟な果粒の香気はマスカット香に近いですが、成熟が進むとフォクシー香に近い特有の香があります。脱粒は「巨峰」よりしにくく、日持ち性は5日程度で短いです。皮ばなれのしやすさは「巨峰」と同程度です。
  • 有核栽培では、果粒重は 10g 程度です(表1)。

ハニービーナス特性

ハニービーナス_果実
図1 「ハニービーナス」の果実

ハニービーナス_結実状況
図2 「ハニービーナス」の結実状況

出願番号
(出願日)
公表日 登録番号
(登録日)
育成者権の存続期間
10854
(1998年4月 9日)
1999年3月18日 9400
(2001年10月18日)
25年
(満了日:2026年10月18日)
交配組み合わせ 旧系統名
紅瑞宝×オリンピア ブドウ安芸津19号

農林認定品種(旧:命名登録品種)

登録番号:ぶどう農林19号

登録年月日:1998年8月

育成担当者

山根弘康、山田昌彦、佐藤明彦、吉永勝一、平川信之、栗原昭夫、岩波 宏、永田賢嗣、角 利昭、平林利郎、小澤俊治、角谷真奈美、中島育子

発表論文

園学雑68(別1) , p.152(1999) : ブドウ新品種'ハニービーナス'

果樹研究所研究報告 2号, p.53-63(2003-03) : ブドウ新品種'ハニービーナス'