品種詳細

JM5

「JM5」は、マルバカイドウに「M.9」を交雑して育成したリンゴ極わい性台木です。挿木繁殖が可能で、「M.9」より強いわい化能力を有し、耐水性は低く、「M.9EMLA」と同程度です。糖度の高い高品質果実が生産できます。樹勢が弱いので、肥沃地での普及が期待されています。

主要特性

  • 樹勢は弱く、開張性を呈します。耐水性は低く、「M.9EMLA」と同程度です。挿し木活着率が比較的高く、挿し木による繁殖が可能です。挿し木によって発生した新梢は直立し、生育良好で、1シーズンで台木として使用可能な大きさに達します。ひこばえの発生は少なく、根部疫病、ASPV、斑点落葉病、リンゴワタムシには抵抗性があり、黒星病には中程度の抵抗性を示します(表1)。
  • 樹は「M.9」や「M.26」を台木に用いた場合より小さく、極わい性です。「ふじ」との接木親和性は中で、台勝ちを呈します。生産効率は場所により異なりますが、比較的高いと考えられます(表2)。
  • 本系統を台木として用いた場合の「ふじ」の果実重は場所により異なりますが、対照台木の「M.9EMLA」や「M.26EMLA」よりやや劣る傾向が認められます。硬度と糖度は対照台木より高く、着色は中~良で、果実品質は優れています(表3)。

表1 「リンゴ台盛岡5号」の病害虫抵抗性

表2 「ふじ」の生育並びに結実に及ぼす影響

表3 「ふじ」の果実品質に及ぼす影響

「JM5」の樹姿
樹姿

出願番号
(出願日)
公表日 登録番号
(登録日)
育成者権の存続期間
9768
(1997年4月11日)
1999年3月18日 8224
(2000年7月31日)
25年
(満了日:2025年7月31日)
交配組み合わせ 旧系統名
マルバカイドウ×M.9 リンゴ台木盛岡5号

農林認定品種(旧:命名登録品種)

登録番号:りんご農林台14号

登録年月日:1997年8月19日

育成担当者

副島淳一、吉田義雄羽生田忠敬別所英男土屋七郎増田哲男小森貞男真田哲朗伊藤祐司定盛昌助樫村芳記阿部和幸古籐田信博

発表論文

  1. 副島淳一・吉田義雄・羽生田忠敬・別所英男・土屋七郎・増田哲男・小森貞男・真田哲朗・伊藤祐司・定盛昌助・樫村芳記・阿部和幸・古籐田信博 .1997.挿し木繁殖可能なリンゴわい性台木の新品種'JM2'、'JM5'.育種学雑誌47別2:265.
  2. 極わい性のリンゴ台木新品種候補「リンゴ台木盛岡5号」

果樹研究所研究報告 第16号 (2013) : リンゴの半わい性台木および極わい性台木の新品種'JM2','JM5'