品種詳細

きたろう

「きたろう」は、「ふじ」に「はつあき」を交雑 して育成した黄色の中生品種です。さびが多くて外観が劣り、収穫前落果もやや多いという欠点がありますが、既存の中生品種と比べて良食味で、日持ち性が優れています。

主要特性

  • 樹勢は中程度で、樹姿は開張性を呈します。短果枝の着生は中、腋花芽の着生は多いです。「はつあき」と「世界一」を除く一般栽培品種との交雑和合性は高く(表3)、収量性は中程度ですが、収穫前落果がやや多くなっています。主要病害の中で、斑点落葉病には抵抗性、黒星病には罹病性です。
  • 盛岡における成熟期は10月中旬で、「千秋」より約1週間遅く、「ゴールデンデリシャス」より1週間早い品種です。大きさは通常250~270g前後で、果皮色は黄ですが、陽光面は淡紅に着色します。果形は扁円で、さびの発生が多く、外観は劣ります。また、年により梗あ部に裂果を生じる場合があります。糖度(Brix)は15~16%と高く、酸度は0.5%前後を示し、甘酸適和で食味は濃厚です。日持ち性が優れており、貯蔵可能期間は常温で30日、冷蔵で85日前後となっています(表1)。
  • 地帯別特性調査結果をみると、成熟期は長野で9月下旬、東北北部で10月上中旬、北海道で11月上旬となっています。糖度(Brix)は13~15%、酸度は0.4~0.5%前後で、食味良好と評価する場所が多くありました。一方、収穫前落果がやや多いこと、果面にさびの発生が多く、外観をそこねることが欠点として指摘されています(表2)。

表1 「きたろう」の特性調査結果

表2  「きたろう」の地帯別特性調査結果

表3  「きたろう」の交雑和合性

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結実状況

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果実

出願番号
(出願日)
公表日 登録番号
(登録日)
育成者権の存続期間
第9766号
(1997年4月11日)
1999年3月18日 8222
(2000年7月31日)
25年
(満了日:2025年7月31日)
交配組み合わせ 旧系統名
ふじ×はつあき リンゴ盛岡52号

農林認定品種(旧:命名登録品種)

登録番号:りんご農林12号

登録年月日:1997年8月19日

育成担当者

副島淳一、吉田義雄、羽生田忠敬、別所英男、増田哲男、小森貞男、土屋七郎、伊藤祐司、眞田哲朗、阿部和幸、樫村芳記、古藤田信博

発表論文

果樹研究所研究報告 13号, p.27-38(2012-03) : リンゴ新品種'きたろう'