品種詳細
紅みのり(べにみのり)
「紅みのり」は果皮が着色しやすく食味良好な早生のリンゴ新品種です。安定して結実良好であり、果実の日持ちが良好です。高温条件でも果皮の着色が容易で果肉が軟化しにくいことから、地球温暖化への対応品種としても期待されます。
主要特性
- 果実重は300 g程度となり、果皮は赤色で着色しやすく、果面のさびの発生は少ないです(図1)。肉質は中位で果肉硬度は15~16ポンドとやや硬く、果汁の量は中程度です。糖度は13.6%程度で「つがる」や「さんさ」よりやや低く、酸含量は0.31 g/100 ml程度で「つがる」と同程度であり、甘酸適和で食味は良好です(表1)。
- 果実の日持ち(20°C下での品質保持日数)は12~14日で、「つがる」や「さんさ」より鮮度保持期間は長いです(表1)。
- 樹勢は中位で、短果枝の着生は多いです。開花期は育成地の盛岡では5月上旬で、「つがる」や「さんさ」とほぼ同時期です。S遺伝子型はS3S5で、「つがる」などの主要品種とは交雑和合性です(表2)。
- 果実の成熟期は8月下旬から9月上旬で、「つがる」より14日程度早いです(表2)。
- 早期から安定して結実良好であり、「つがる」や「さんさ」より1樹当たり収量及び累積収量が多いです(図2)。
- 裂果の発生率は18%前後で、「つがる」や「さんさ」より高いです(表2)。栽培条件によっては幼木や若木の生育が旺盛になり、裂果の発生を助長するため、適正な樹勢の維持と果実肥培管理を行う必要があります。
- 心かびの発生率は4%前後で(表2)、「つがる」と同程度に低いです。後期落果の程度は「つがる」と同程度であり「さんさ」より落果しやすいですが、落果防止剤の使用により低減が可能です。
- 斑点落葉病には抵抗性があります(表2)。
出願番号 (出願日) |
公表日 | 登録番号 (登録日) |
育成者権の存続期間 |
---|---|---|---|
32285 (2017年7月 5日) |
2017年10月26日 | 27427 (2019年4月23日) |
30年 (満了日:2049年4月23日) |
交配組み合わせ | 旧系統名 | ||
つがる×ガラ | リンゴ盛岡67号 |
栽培適地
「つがる」など早生の赤色品種で着色不良や果肉軟化等の品質低下が問題となる地域(富山県、石川県、岐阜県等)を中心に20 ha程度の普及が期待されます。
育成担当者
阿部和幸・副島淳一・別所英男・森谷茂樹・古藤田信博・岩波宏・増田哲男・小森貞男・岡田和馬・吉田義雄・伊藤祐司・土屋七郎・高橋佐栄・羽生田忠敬・加藤秀憲・土師岳・石黒亮・清水拓・樫村芳記・眞田哲朗
関連リンク
成果情報:果皮が着色しやすく日持ちが良い早生のリンゴ新品種「紅みのり」
プレスリリース:高温でも着色しやすく、軟化もしにくい リンゴ新品種「紅みのり」
原著論文:
種苗入手先リスト(平成30年秋季から販売)