品種詳細

甘太(かんた)

「甘太(かんた)」は、高糖度で食味が良く、かつ栽培が容易で豊産性の晩生ニホンナシ品種です。主要な晩生品種である「新高(にいたか)」と同時期あるいはやや遅い時期に収穫する品種です。樹勢が強く、花芽の着生が安定しているため、栽培容易で豊産性です。「新高」より果肉が軟らかく、糖度が高いため、食味が優れるのが特徴です。早生の「幸水」や中生の「豊水」と比較しても糖度が高い良食味品種です。「甘太」は晩生のニホンナシ需要を大きく拡大する品種として、南東北から西南暖地まで全国的な普及が期待されます。

「甘太」の名前は、甘くて、果実肥大が良く(太)、栽培が容易(簡単)であることに由来します。

主要特性

  • 樹勢は強く、枝の発生の多少は中程度です。短果枝とえき花芽の着生はともに多く、着花は安定しています。収穫期は10月上旬で、育成地(つくば市)では「新高」に近い時期です(表1)。若木(6-7年生時)の収量は「幸水」、「豊水」、「新高」より高く、豊産性です(表1)。
  • 果実の大きさは570g程度と大きい品種です。果肉の硬度は「幸水」、「豊水」並で、「新高」より軟らかく、肉質良好です。果汁糖度は「幸水」、「豊水」、「新高」より高く、甘い品種です。果汁pHは「豊水」、「新高」に近く、酸味が少しありますが、糖度の高さと相まって食味は濃厚です。心腐れ、みつ症、裂果の発生はみられません(表2)。 日持ち性は「新高」ほど長くなく「豊水」と同程度以上です。
  • 黒斑病には抵抗性です。「幸水」、「豊水」、「新高」と同様、黒星病に対しては罹病性ですが、慣行防除で栽培できます。S遺伝子型はS3S4であり、主要品種の中では「あきづき」と交雑不和合性、その他とは和合性を示すと考えられます。

表1 「甘太」の樹体特性
 表2 「甘太」の果実特性

図1 「甘太」の結実状況
図1 「甘太」の結実状況

図2 「甘太」の果実
図2 「甘太」の果実

出願番号
(出願日)
公表日 登録番号
(登録日)
育成者権の存続期間
28388
(2013年7月26日)
2013年11月22日 23913
(2015年3月 3日)
30年
(満了日:2045年3月 3日)
交配組み合わせ 旧系統名
王秋(おうしゅう)×あきづき ナシ筑波58号

栽培適地

全国33県で試作栽培試験を行い、南東北以南の大部分の県で有望と評価されており、全国的に普及が見込まれます。