品種詳細

JEC1

エリアンサスの栄養繁殖品種「JEC1」は、種子繁殖性の既存品種「JES1」と同等の収量性を示し、「JES1」より品種内の均一性が高い品種です。そのため、「JEC1」の機械収穫効率は「JES1」より高く、バイオマス原料の効率的な生産が可能になります。

主要な特徴

「JEC1」は、立型晩生の「JW4」を母本とし、「JW630」、「KO1」、「KO2」および「KO2立」との自然交配で得られた集団から選抜した栄養繁殖品種です。
育成地の調査では、

  1. 九沖農研(熊本)における「JEC1」の出穂始日は、株が確立した2年目では晩生である「JES1」より10日早く、「JEC1」の早晩性は中生に属しています。
  2. 九沖農研(熊本)において「JEC1」から採取した小花からの発芽率は9.4%です。
  3. 「JEC1」の草型は中間型で、やや立型の「JES1」より開張しています。
  4. 「JEC1」の2年目乾物収量は3.16t/10aで、「JES1」と同程度です。
  5. 栄養繁殖で増殖する「JEC1」の1株あたりの茎数および乾物重の変動係数は、種子で増殖する「JES1」より有意に小さい特性です。そのため、飼料収穫機(CHAMPION 3000)による「JEC1」の機械収穫効率(9.3 t/hr)は、「JES1」(7.3t/hr)より有意に高い値になります。

成果の活用面・留意点

  1. エリアンサスを主原料として用いるバイオマス事業で利用できます。当面はペレットなどの熱利用等に向けた技術開発、実証研究およびパイロット試験等における利用が見込まれています。
  2. 種苗は、茎部の植えつけや株分けにより苗を養成し増殖します。将来的に、組織培養を利用した種苗増殖技術が実用化すれば、種苗の増殖効率の向上が可能になります。
  3. エリアンサスは、「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト」(2015年3月)の重点対策外来種に該当するので、栽培に当たっては管理下に置くことで雑草化を防止することとし、危険性が高い小笠原・南西諸島では栽培しないで下さい。
出願番号
(出願日)
公表日 登録番号
(登録日)
育成者権の存続期間
30535
(2015年10月15日)
2016年1月28日

交配組み合わせ 旧系統名