国際活動

ニュージーランド首相首席科学顧問 ジョン・ロッシュ博士農研機構来訪

10月3日(金曜日)、ニュージーランド首相首席科学顧問ジョン・ロッシュ博士および駐日ニュージーランド大使館の3名の方々が農研機構に来訪されました。

ご一行にはまず、農業環境研究部門の温室効果ガス発生制御施設をご視察いただきました。ここでは、ニュージーランド主導で設立された温室効果ガス削減に関する国際ネットワーク「Global Research Alliance (GRA)(*)」に関する活動などについて、活発な意見交換が行われました。次に、ご一行は遺伝資源研究センターのジーンバンクに移動され、ニュージーランドのマオリ族に遺伝資源の返還を行ったこと(**)などに関して説明を受けられました。

続いて、ご一行と久間理事長との対談が行われました。農研機構成果のうち、温室効果ガス排出削減に効果のある牛ルーメンの微生物については、ニュージーランドの畜産由来温室効果ガス削減にも有効なのではないかとロッシュ首相首席科学顧問も大変関心を示されました。ニュージーランドでは国全体の温室効果ガス排出量の50%が農業由来で、その大半が畜産業に由来する状況であることから、畜産由来の温室効果ガス排出削減が重要な課題となっているとのことです。また、バイオ炭、スマート農業についても意見がかわされました。このほか組織運営に関して、ニュージーランドでは公的研究機関の統合・再編を進めている最中であり、すでに組織改編を経ている日本の農研機構に注目するとともに、今後の農研機構とニュージーランド研究機関との国際連携の強化に期待しているとのコメントをいただきました。今後の交流を通じて良いテーマを探し出せれば、将来的にお互いの国益に繋がる連携関係を構築できることが期待されます。

*Global Research Alliance (GRA) : ニュージーランド主導で2009年に設立された、農業分野の温室効果ガス(GHG)排出削減等に関する国際研究ネットワーク。現在、日本を含む68か国が加盟。「畜産」「畑地」「水田」の3つの研究グループと「統合研究グループ」で構成されます。

**NZへの遺伝資源返還 : ニュージーランドに居住するマオリ族が主食としていた「クマラ」(マオリ族の言葉でサツマイモの意味)の遺伝資源が農研機構ジーンバンクに保存されていることがわかり、現地での栽培に向けた返還のために、1988年に「里帰り式」を実施しました。
(https://www.naro.go.jp/introduction/NARO130th/topics/naro07.html)