目的
雑草イネは水田に自生して雑草となるイネで、コシヒカリなどの栽培用品種と同じ植物種ですが、籾(もみ)が脱粒しやすい、赤米のものがあるなどの点で異なります。雑草イネの発生は水稲の直播栽培に限定されると考えられてきましたが、中央農研の調査の結果、移植栽培しか実施したことのない水田でも多く発生していることが明らかになりました。雑草イネは脱粒しやすい性質があるため、放っておくと種子がほ場に落ちて、翌年以降に数百倍に増殖し、被害が益々増大していきます。また、まん延すると高コストの防除が長年必要になります。そのため、雑草イネを発見した場合には速やかに対策を実施し、被害を未然に防いでいくことが最重要です。
雑草害と警戒すべき場面
雑草害
- 収穫物に混入すると異品種混入となります。
- 発生密度が10本/m2で20~30%の減収、20本/m2で50%の減収となるとの報告があります。
警戒すべき場面
- 移植水稲栽培(全国)
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直播水稲栽培(全国)
(移植直後)
栽培品種の条間に生える雑草はすべて自然発生した雑草イネです。このように移植水稲栽培でも雑草イネは問題化します。
(出穂期全景)
雑草イネがまん延化した移植水稲栽培の水田です。黄金色の穂をした栽培用品種と比べ、草丈が高くこげ茶色の穂をしたイネが雑草イネです。このように圃場全体に雑草イネが発生すると収量は明らかに減少します。
(出穂時拡大図)
特徴・発生生態
- 2015年までに19県で発生が確認されています。
- 籾が落ちやすい点が栽培イネとの違いで、軽く握るだけで簡単に落ちてしまいます。
- 外観が栽培イネとは明らかに異なるものだけでなく、識別困難な雑草イネもあります。
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長期間出芽するため、代かき前後ならびに除草剤散布後に出芽した個体も問題となります。
防除のポイント
- まん延すると高コストの防除が必要になるため、早期発見・対策が最重要です。
- 直播栽培では有効な除草剤がないため、移植栽培や畑に転換してください。
- 移植栽培では有効な除草剤を雑草イネの出芽始めまでに散布してください。
- 除草剤のみでは十分に防除できないため、手取り除草を必ず実施してください。
- 雑草イネは出穂後2週間で籾が落ち始めるため、それまでに抜き取ってください。
除草剤による雑草イネ防除のポイント
(中央農研 雑草イネまん延防止マニュアルより抜粋)
参考資料・技術マニュアル
注意事項
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中日本農業研究センター 事業化推進室
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