北海道農業研究センター

IV 参考情報

直播栽培の面積等について

1. 直播栽培の全道的な動向

  • 2019年の北海道での直播面積は2,381haであり、湛水直播が1,015ha、乾田直播が1,365haとなっており、乾直面積割合は57.3%である (表C-1) 。
  • 2014~2019年の5年間の直播面積の増減は、直播全体で+698haであり、うち湛直が+120haに対し、乾直は+577haと、乾直の伸びが大きい (同) 。
  • 最近 (2017年以降) は湛直が頭打ち~やや減少傾向にある (2019年は2017年対比で▲145ha) 。一方、乾直は+342haの増加であり、最近の増加度合が大きい (図C-1) 。
  • 乾直の一部には湛直から転換もあると推察されるが、新規の増加も多いと見込まれる。
表C-1 北海道の直播面積の推移 (ha)

資料 : 各年とも北海道農政部「米に関する資料」

図C-1 直播種類別の面積推移

資料 : 各年とも北海道農政部「米に関する資料」

2. 直播栽培の地域別動向

  • 2019年の直播面積を地域別に見ると、空知が1,664ha (70%) であり、ついで、渡島・檜山294ha (12%) 、上川259ha (11%) となっている (図C-2) 。
  • 2014年との比較では、空知が498ha増加したのに対し、上川、渡島・檜山、その他の合計で200ha増加にとどまり、空知地域の増加が特徴といえる。
図C-2 地域別の直播面積推移

資料 : 各年とも北海道農政部「米に関する資料」。なお、2013年データは欠落。

  • 湛水直播では、空知が552haと最も多いが、その割合は54%へ低下し、上川222ha (22%)、渡島・檜山158ha (16%) と空知以外の割合が高まる (図C-3) 。
  • 2014年との比較では、空知407ha増加に対し、他の3地域は170ha増加にとどまる。
図C-3 地域別の湛水直播面積の推移

資料 : 各年とも北海道農政部「米に関する資料」。なお、2013年データは欠落。

  • 乾田直播では、空知が1,112ha (81%) となり、直播全体より空知への集中が強まり、渡島・檜山137ha (10%) 、上川37ha (3%) にとどまる (図C-4)。
  • 2014年との比較では、空知407ha増加に対し、他の3地域は170ha増加である。
図C-4 地域別の乾田直播面積の推移

資料 : 各年とも北海道農政部「米に関する資料」。なお、2013年データは欠落。

  • 以上のように、湛水、乾田を問わず、空知地域の面積が大きく、近年も空知での増加が指摘できる。特に乾田直播で空知への集中と増加が顕著といえる。
  • 地域毎に湛水、乾田別に見ると、空知では乾直が67%、湛直が33%であるのに対し、上川では湛直が86%で乾直は14%にとどまっている (表C-2) 。
表C-2 主な地域の湛水直播・乾田直播別の面積、割合 (2019年)

資料 : 各年とも北海道農政部「米に関する資料」(令和2年10月)

3. 直播栽培の品種別動向

  • 品種別の直播面積を見ると、2011年~2019年まで一貫して最も多いのは「大地の星」であり、ついで「ほしまる」「ななつぼし」等の順となっている (図C-5) 。
  • 2019年では「大地の星」608ha (26%) 、「ほしまる」390ha (16%) 、「えみまる」315ha (13%) 、「ななつぼし」260ha (11%) となる。飼料用米「そらゆたか」は同年に407ha (17%) となっている。
  • 2014年と2019年の比較では「えみまる」「そらゆたか」の登場および「ななつぼし」の頭打ちが特徴である。
図C-5 品種別の直播面積推移

資料 : 各年とも北海道農政部「米に関する資料」。なお、2013年データは欠落。

  • 湛水では、「えみまる」「ほしまる」「ななつぼし」「大地の星」の順となり、直播全体とは大きく異なる (図C-6) 。2019年では「えみまる」224ha (23%) 、「ほしまる」223ha (23%) 、「ななつぼし」130ha (13%) となる。
  • 2014年と2019年の比較では、「えみまる」の登場で「ほしまる」が減少し、また、「そらゆたか」の登場が特徴といえる。
図C-6 品種別の湛水直播面積の推移

資料 : 各年とも北海道農政部「米に関する資料」。なお、2013年データは欠落。

  • 乾直では「大地の星」が最も多く、ついで「ほしまる」「ななつぼし」で推移してきたが、2019年には「そらゆたか」が「ほしまる」を上回っている (図C-7) 。
  • 2019年の面積は「大地の星」495ha (36%) 、「そらゆたか」304ha (22%) 、「ほしまる」167ha (12%) 、「ななつぼし」130ha (10%) である。
  • 2014年と2019年の比較では、かつて半数を超えていた「大地の星」が減少し、その減少分以上に「そらゆたか」が増加し、さらに「その他」が増加している。
図C-7 品種別の乾田直播面積の推移

資料 : 各年とも北海道農政部「米に関する資料」。なお、2013年データは欠落。

  • 以上のように、品種別に見ると湛水と乾田ではその構成が異なっており、乾田では加工用の「大地の星」と飼料用の「そらゆたか」が約6割に対し、湛水では「えみまる」「ほしまる」「ななつぼし」が多い (「ほしまる」は今後「えみまる」に置き換わる見込み) 。
  • このような相違の要因は、湛水では上川および渡島・檜山など空知以外の地域が一定程度占めているのに対し、乾田が空知とくに岩見沢市、美唄市等の南空知地域に集中していることと関連していると推察される。