北海道農業研究センター

補足

[補足1] 前年整地の効果

1) 春に行う均平作業の省力化と作業時期の分散

  • 乾田直播に欠かすことの出来ない均平作業は春作業の中でも特に時間がかかる作業ですが、前年整地を行うことで、総作業時間は増加しますが、当年春の均平作業にかかる時間を大幅に削減できます (表A-1) 。
  • 乾田直播栽培の整地・播種の作業時期は、移植栽培の代かき・田植えの作業時期と異なるため、同時期に集中している春作業を分散できます (図A-1) 。
表A-1 前年整地導入による作業時間の変化

図A-1 乾田直播の慣行体系と前年整地体系の4月下旬~5月下旬の作業時間比較

※表A-1、図A-1とも農研機構生研支援センター委託「革新的技術開発・緊急展開事業(うち経営体強化プロジェクト)」の成果である。

2) 圃場表面の不陸(圃場の凹凸)の軽減

  • 道内の水田圃場に広く分布する泥炭土には不陸(圃場の凹凸)が発生しやすい特性があります。この場合も、前年整地を行うと、その後の積雪で一旦鎮圧された状態になり、春の圃場表面の不陸が軽減されるので (図A-2) 、春の均平作業時間が短縮されます。また、春のみの均平で一度に多くの土量を移動するよりも、後の不陸が起こり難くなると考えられます。
  • 融雪時に表面の土塊が細粒化することで、ローラ鎮圧と同様の効果も期待できます。
図A-2 泥炭土での融雪後の均平度と作業日

均平度は平均標高±2.5cmの地点割合を示す。アルファベットは経営体、数字は圃場番号を示す。作業日はC法人の2018年の調査圃場の例である。

※図A-2は農研機構生研支援センター委託「革新的技術開発・緊急展開事業(うち経営体強化プロジェクト)」の成果である。

[補足2] レーザー均平機と均平の作業手順

1) レーザー均平機

  • レーザー均平機は、排土板に取り付けられた受光機、油圧コントローラおよびレーザー発光機からなります (図A-3) 。三脚に設置したレーザー発光機から照射されたレーザーを基準高とし、受光機が高さを検出し、油圧コントロールを介して排土板の高さを一定に制御します。レーザー光の到達距離は半径約300mで、レーザー発光機を中心とする半径300mの円内が作業可能範囲です。
  • レーザー均平機は、けん引式と、3点リンクに取り付ける直装式があります。けん引式は前進で作業を行うため圃場の四隅は作業できませんが、比較的小さなトラクタでも作業可能です。
  • 直装式はバック作業が可能であり、高低差の大きい圃場での均平作業に有効で、大型トラクタでの利用に適しています。
図A-3 レーザー均平機

2) 作業手順

  • 発光機を圃場の近くに、風の影響などの影響を受けないようしっかりと設置します。トラクタのキャビンによってレーザー光が遮られない高さに発光機、受光機を調整します。
  • 圃場内で仮の基準高さを決め、作業機が運べる土の量を考慮してブレードの高さを調整しながら、高いところの土を切土し、低いところに盛土していきます。大きな高低差がある場合は、手動により高いところから低いところへ運土します。
  • 圃場内を走行して、ブレードに土が引っかからなくなったら徐々にブレード高さを下げていきます。圃場全体のどこを走行してもブレードに土が同じくらいたまるようになったら均平完了です。
  • 後に行う播種の方向に沿って仕上げを行うと播種作業が安定します。

[補足3] GNSS均平機と高低差マップの活用

  • GNSS均平機は、均平機の高さ制御にレーザーの代わりに高精度GNSSを利用した作業機です (図A-4) 。
  • レーザーレベラーで問題となっていた、近くで作業している他のレーザー発光器との交錯、圃場毎に発光器を設置する手間を解消できます。
  • 均平機の仕様によっては、専用ソフトウェアを利用することで、圃場の高低差マップ作成、運土量の算出など様々な機能を利用できます (図A-5) 。
  • 高低差マップを作成できる機種での作業手順は、圃場外周を走行し外周計測をしたのち、圃場全体をまんべんなく走行し、圃場の高低差計測を行います。高低差マップにより、圃場内の高低差分布が表示されるので、マップを見ながら均平作業を行います。作業中の現在位置や、作業経過の表示も可能です。
  • 均平機の仕様が高低差マップに対応していない場合でも、別途GNSS機器を利用して事前に圃場の高低差を把握しておくことで計画的な均平作業が可能となり、作業時間の短縮が期待できます。
図A-4 GNSS均平機

図A-5 圃場の高低差マップ

[関連リンク] 均平作業を支援する「均平作業用高低差マップ.xlsm」の提供

[補足4] 除草剤の情報

表A-2 北海道の乾田直播栽培において使用可能な除草剤 (初中期一発剤)
(※クリックで拡大表示します)

表A-3 北海道の乾田直播栽培において使用可能な除草剤 (中後期剤)
(※クリックで拡大表示します)

公益社団法人北海道農業改良普及協会「平成31年度北海道農作物病虫害・雑草防除ガイド」を参考に作成。
2020年3月現在の登録内容を基にしています。実際の使用にあたっては必ず最新の登録内容をご確認ください。
初めて使用する除草剤の場合には、指導機関などにご相談ください。