北海道農業研究センター

所長室

平成26年度

 

 門脇所長

 

北海道農業研究センターは、1901年(明治34年)に札幌農学校の一部に北海道農事試験場が設置されたことに始まり、幾たびかの変遷を経て、2006年(平成18年)より独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構(略称 農研機構) 北海道農業研究センターとして、北海道農業、寒地農業が直面するさまざまな問題の解決と国民が期待する社会の実現に向けて、研究業務を推進しています。日本最大の農業研究機関である農研機構の一員として、その総合力を駆使して研究成果の最大化を目指しています。

北海道農業を数字で俯瞰すると、平成23年度における北海道の耕地面積は、約115万ヘクタールであり、その中で、水田が224,300ヘクタール、畑が930,800ヘクタール(そのうち513,400ヘクタールが牧草地)です。全国の耕地面積が、約456万ヘクタールですから、全国耕地面積の25.3%を北海道が占めていることになります。畜産を例に取れば、生乳の生産量は全国シェアの51.9%を占めています。わが国の食料自給率(カロリーベース)が39%(24年度)であるのに対して、北海道は191%(23年度)です。農業産出額は1兆536億円(24年度)で、北海道の農業生産性はEU加盟国と比較すると、大半の国のそれを上回っています。全国の農業産出額は減少傾向にある中、北海道においては昭和59年以降、約1兆円で推移しています。このように文字通り、北海道はわが国における最大かつ最強の食料生産供給基地としての役割を果たしてきています。

農政を取り巻く情勢については、平成25年5月に官邸に総理を本部長とする「農林水産業・地域の活力創造本部」が設置され、政府一体となって関連施策を推進することとされました。同年12月には「農林水産業・地域の活力創造プラン」が示され、「需要フロンティアの拡大(国内外の需要拡大)」、「需要と供給をつなぐバリューチェーンの構築(農林水産物の付加価値向上)」、「多面的機能の維持・発揮」、「生産現場の強化」の4本柱を軸にとりまとめられました。農業・地域が将来にわたって国の活力の源となり、持続的に発展するための方策の一つとして、研究所は人的資源・物的資源などを総動員して、それらの課題解決に取り組みます。

研究所を取り巻く情勢については、4つの独立行政法人、すなわち、私どもが働いている農研機構、農業生物資源研究所、農業環境技術研究所、種苗管理センターの統合が平成25年12月に閣議決定されました。農林水産省では「食料・農業・農村基本計画」の見直しに向けて審議を開始しています。今後、新たな中期目標が提示され、中期計画を策定し、研究を遂行することとなります。現在農研機構で実施しています6本の研究、すなわち、「食料安定供給のための研究」、「地球規模の課題に対応する研究」、「新需要創出のための研究」、「地域資源活用のための研究」、「原発事故対応のための研究」、「農業機械化の促進に関する研究」で得られた研究成果の活用とそのさらなる展開を目指し、社会や行政のニーズに迅速かつ適切に対応すべく、強化すべき研究、重点化すべき研究などの議論を進め、研究業務を推進してまいります。中・長期的視野に立ち、北海道地域に対応する水田作、畑作、酪農等の大規模生産システムの確立を行うとともに、それらを支える先導的・基盤的研究においては、新たな研究シーズを創出し、実用化に向けて成果を統合していきます。

経済のグローバル化に伴い、国内外の農業をとりまく環境は、不確実性を増しており、国内農業の競争力強化や高付加価値化は待ったなしです。消費者や生産者のニーズに応えるべく、我が国の食料生産供給基地を支える研究機関としての役割を果たしていくとともに、関係機関との連携もさらに深めてまいります。今後とも、社会に貢献し続ける北海道農業研究センターとして、職員一丸となり取り組んでまいる所存です。引き続き、皆様方のご支援とご協力を賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

平成26年4月
独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構(略称 農研機構)
北海道農業研究センター
所長 門脇 光一

(平成27年4月より 国立研究開発法人)