農業機械研究部門

緊プロ開発機のご紹介

環境保全型汎用薬液散布装置

(2007年発表)

ドリフトと作業者被曝を低減した定量散布ブームスプレーヤ

  • ドリフトしにくい噴霧を発生するドリフト低減型ノズルを標準装備
  • 煩わしい調整せずに所定の散布量を高精度に散布することが可能
  • 作業能率は慣行作業と同等以上で、作業履歴を自動保存

写真

1.利用のメリット

開発機を使用することにより、慣行と同等の散布作業を行いつつ、ドリフト(農薬飛散)による近隣への危被害発生のリスクを軽減できる。

2.開発装置の概要

  • トラクタ搭載式または乗用管理機搭載式の散布装置で、ドリフト低減型ノズルを標準で装備し、作業速度連動制御を用いた定量散布作業(トラクタ搭載式で散布量150、200、300L/10a、乗用管理機搭載式で25、75、100L/10a)ができる。
  • II型及びIII型ノズルは、微細粒子が少なく、ドリフトを大幅に低減する。
  • 作業履歴情報記録装置は、散布開始から終了まで実散布量等の情報を自動保存する。
  • 慣行と同条件(農薬種類、希釈濃度、10a当たり散布量)で散布作業を行うことにより、慣行作業よりもドリフトと作業者被曝を大幅に低減しつつも、同程度の防除効果が得られる。

3.活用上の留意点

  • 標準装備のノズル以外を用いる場合は散布量の制御精度は保証されない
  • 開発機を使用する場合も、風が強い、あるいは、散布地点から至近距離に他の作物が栽培されている場合等には、ドリフトによる危被害防止のため、作業経路や散布計画・日程の変更、遮蔽物(シート、ネット等)の設置等の対策が求められる。また、運転席にキャビン等がない機種では、被曝を極力予防するために防薬マスク、手袋、保護衣等を着用する。

4.委託研究実施会社

株式会社共立、株式会社丸山製作所ヤマホ工業株式会社

5.主要諸元・構造

ドリフト低減型ノズルと作業速度連動装置を装備し、作業履歴情報記録装置を搭載したブームスプレーヤ(トラクタ搭載式と乗用管理機搭載式)である。

主要諸元・構造

6.作業性能

  • トラクタ搭載式散布装置はキャベツ及びハクサイほ場等において、乗用管理機搭載式散布装置は水田及び転作畑等において、作業速度連動制御機能を用いて散布作業を行った結果、慣行と同等の付着性能及び作業能率であった。また、作業履歴情報記録装置は散布開始から終了まで円滑に作動し、散布終了時に所定の情報が記録・保存された。
  • 開発した散布装置を用いて、キャベツ及びハクサイほ場等において薬剤防除作業を行った結果、慣行と同等の防除効果が得られた。
  • 開発した散布装置を用いて作業を行う場合、ほ場の境界から距離3~20mに設置した感水紙液斑被覆面積率でドリフト程度を比較すると、散布量200L/10a、追風1~2m/sの条件で慣行ノズルを用いた既存機を使用する場合に比べて1/10程度に抑制可能であった。この時、作業者被曝は、感水紙液斑被覆面積率で慣行ノズルを用いた既存機に比べて約1/6に抑制された。
  • (試験場所:北海道中央農試、群馬農技セ・高冷地セ、長野農総試、生研センター及び同附属農場)