農業機械研究部門

緊プロ開発機のご紹介

中山間地域対応自脱型コンバイン

(2001年発表)

世界最小のミニコンバイン

  • 中山間のイネ刈りも楽々、安全
  • 乗ってよし、降りてよし、楽々運転操作

写真
中山間地域対応自脱型コンバイン

1.利用のメリット

機体の小型化、軽量化により、狭い農道でも楽に移動が可能、また小区画で不整形なほ場でも畦際まで刈取りが出来るので、中山間地域の収穫作業の効率化、労働負担の軽減が可能。乗用でも、歩行でも運転操作が可能であることから傾斜地での移動の安全性が向上。

後方運転操作

2.開発機の概要

  • 乗用2条刈り自脱型コンバイン。
  • 小区画ほ場や狭い農道でも効率良く安全に作業ができる世界最小のミニコンバイン。
  • ほ場の収穫は、コンバインに乗って運転操作を行うが、ほ場への進入あるいはほ場から退出する場合、畦畔を乗り越える場合、さらに傾斜農道を走行する場合は、コンバインを降りて安全な運転操作ができる。
  • 一部部品を取外して軽トラックに積載可能なコンバイン。
  • 作業能率は、平地で5a/h程度、中山間地域の小区画、不整形なほ場で3a/h程度。

3.活用上の留意点

傾斜が急な場所等では、コンバインを降りて運転操作を行うこと。

4.委託研究実施会社

三菱農機株式会社ヤンマー農機株式会社

5.主要諸元

機体の大きさ全 長(mm) 2,285
全 幅(mm) 1,265
全 高(mm) 1,260
質 量(kg) 430
345(刈取部とシリンダカッタを取り外した場合の質量)
エンジン種 類 空冷ガソリン機関
定 格 出 力 (kW/rpm) 5.9/1,800
走行部形 式 クローラ式
クローラ・幅×接地長(mm) 230×690
変 速 方 式 ギヤシフト式
変 速 段 数 前進3段、後進1段
刈取部刈取条数 (条) 2
刃 幅 (mm) 600
脱穀部脱 穀 方 式 下こぎ式
こぎ胴径×幅 (mm) 365×333
選別部形 式 風力・揺動選別方式
穀粒処理部形 式 袋詰め方式
吐 出 口 数 1+予備1
操作部前方操作部
(乗用作業時)
操向・刈取部昇降レバー
作業クラッチレバー
変速レバー
ブレーキ、アクセル等
後方操作部
(歩行移動時)
操向レバー
駐車ブレーキレバー
その他排わら処理装置 シリンダカッタ
自動化装置 こぎ深さ制御装置

水田213-3 中山間地域の概要中山間地域の概要

水田213-4 開発機の収穫風景開発機の収穫風景

6.作業性能

  • 小麦、水稲を供試した結果、各部の作動は円滑であり、順調に収穫作業を行うことができた。
  • 小麦(農林61号)を供試し、作業速度を0.2~0.9m/sまで変えて作業精度試験を行った結果、穀粒損失は1.2~1.9%であった。また、穀粒口の損傷粒割合は0.0%、夾雑物割合は0.1~0.2%であった。
  • 水稲(朝の光、ゆめみのり)を供試し、作業速度を0.2~0.4m/sまで変えて作業精度試験を行った結果、穀粒損失は0.6~2.8%であった。また、穀粒口の損傷粒割合は0.0~0.5%、夾雑物割合は0.0~0.3%であった。また、約5aのほ場を供試して作業能率試験を行った結果、平均作業速度は0.4m/s、ほ場作業量は約5.4a/hであった。
  • 現地試験によると、中山間地域の小区画で不整形な水田(供試ほ場数:52筆、平均面積:約2a)における平均ほ場作業量は約3a/hであり、収穫作業も順調であった。また、傾斜地での後方操作による移動や狭いほ場での旋回も円滑で利用農家の評価も高かった。
    (試験場所、島根県柿木村、愛媛県松山市大井野町、福岡県黒木町、生研センター附属農場)