農業機械研究部門

緊プロ開発機のご紹介

作物生育情報測定装置(携帯型)

(2002年発表)

小型・軽量な携帯型生育診断装置

  • ボタン操作一つでイネを診断
  • 科学の眼で見るイネの栄養

写真
開発装置による測定風景

利用のメリット

  • 本装置で得られた指標値から、慣行の水稲生育診断で用いられている「葉色(SPAD値)」、「葉色(SPAD値)×茎数×草丈」等を推定し生育マップを作成することができ、その結果をもとに適正穂肥量を求めることができる。
  • 生育マップと当該年の収量等の情報をもとに、翌年の適正基肥量を決めることができる。
  • 倒伏の軽減、米の高品質化・均質化、肥料の節減などの効果が期待できる。

<img class=開発装置の概要

開発機の概要

  • 分光フィルタを貼り付けたフォトダイオードセンサで太陽光と作物からの反射光を同時に測定し、水稲の葉色や生育量を求めるものである。センサ部、表示部や記録部が一体となった手元操作部、測定範囲と測定高さを指示するガイドなどで構成される。
  • 本装置で得られた指標値は、指導機関などで水稲の生育診断をする際に測定されている「葉色(SPAD値)」、「葉色(SPAD値)×茎数×草丈」等と高い相関を有する。
  • GPSを接続して位置情報を取得しながらほ場内を移動しメッシュ状に測定を行うことにより、生育マップを作成することができる。

活用上の留意点

品種によっては慣行測定データとの相関がふれる場合もあるため、品種ごとにデータを蓄積し本装置による推定精度を高めることが望まれる。

委託研究実施会社

株式会社荏原製作所

主要諸元・構造

    • 構造

作物からの反射光と太陽光を測定するセンサ部、測定操作や表示、データ処理を行う制御操作部などで構成される携帯型の作物生育情報測定装置である。制御操作部は、パソコンへのデータ転送、GPSからの位置情報入力を行うためのポート等も有している。

  • 主要諸元
方 式 分光反射測定
センサ 浜松ホトニクス製 シリコンフォトダイオード S1336-5BK
フィルタ 中心波長G:550nm(半値幅50nm)
R:650nm(半値幅80nm)、NIR:880nm(半値幅50nm)
メモリ容量 999点
電 源 単3型Nih電池4本、電池寿命約7.5時間(フル充電時)
寸法・質量 148(H)×795(W)×146(D)mm、約1.15kg(電池を含む)

6.作業性能

  • 開発した装置を作業者が携帯してほ場に入り、穂肥時の水稲を測定した結果、慣行の水稲生育診断で用いられる「葉色(SPAD値)」、「葉色(SPAD値)×茎数×草丈」、「茎葉窒素含有量」等と高い相関を有する指標値を得ることができた。
  • GPSを使用し位置情報を取得しながら多点測定を行うことによって、生育マップを作成することができた。
  • 1回の測定に要する時間は数秒程度であり、20~30a(長辺60~100m)の水田でメッシュ状に測定したときの所要時間は7.5~13分/10a(10a当たり140~160点測定)であった。

    [試験場所:北海道岩見沢市、秋田県河辺郡雄和町、宮城県古川市、新潟県長岡市、新潟県三島郡越路町、新潟県中頚城郡三和村、埼玉県北埼玉郡川里町、福井県福井市、兵庫県加西市、福岡県三潴郡大木町]