1.利用のメリット
畦畔上を歩行しながら手元ダイヤルで散布幅を調節して、小区画・不定形水田に合わせた粒剤散布を行える。畦畔上からの散布を基本とすることで水田内の歩行作業の頻度を低減できるため、中山間地域の水稲作における農薬散布の作業負担を軽減できる。
2.装置の概要
- 歩行用の電動走行部に電動の粒剤散布装置を搭載した粒剤散布機。
- 手元ダイヤルで散布幅を調節することで、小区画・不定形水田の幅に合わせた粒剤散布作業を行うことができる。また、散布方向は左右に切り替えることができる。
- 散布幅は、1キロ剤で4~8m程度、3キロ剤で3~5m程度(無風時)。
- 散布部を走行部から分離して携帯用の粒剤散布機としても利用可能である。
- 走行部は運搬車としても利用可能である。
- 開発機は、エンジンや送風機がないため、小型・軽量で排気ガスもなく、低騒音。
3.活用上の留意点
- 散布幅は、粒剤の種類や自然風などの条件によって変化するため、散布した粒剤の到達位置などを確認して、ドリフト防止に努める必要がある。
- 携帯用の粒剤散布機として利用する場合は、適正な速度で歩行する必要がある。
4.共同研究実施会社
ヤンマー農機株式会社、ニューデルタ工業株式会社
5.主要諸元・構造
開発機は、歩行用の電動走行部に電動の粒剤散布部を搭載した粒剤散布機である。散布部は、縦置きにした6枚の羽根を有する円板を高速回転させ、 遠心力で粒剤を散布するスピンナ式散布機構である。その回転速度と吐出量を連動して制御するため、畦畔上を歩行しながら手元ダイヤルで散布幅を調節するこ とで、小区画・不定形水田の幅に合わせた粒剤散布作業を行うことができる。また、散布方向は左右に切り替えることができる。

6.作業性能
- 自走が困難な畦畔上からの散布や幅の広い水田での補助散布を行う際に、散布部を走行部から分離して携帯用の粒剤散布機としても利用可能であった。
- 畦畔上からの散布を基本とすることで水田内の歩行作業の頻度を低減できるため、作業負担を軽減できた。
- 散布幅は、1キロ剤で4~8m程度、3キロ剤で3~5m程度であった(無風時)。
- 開発機は、エンジンや送風機がないため、小型・軽量で排気ガスもなく、低騒音であった。
(試験場所:長野県農業総合試験場、生研センター)