1.利用のメリット
- 従来5~6名は必要だった飼料用トウモロコシの収穫調製が、ロールベーラとベールラッパの作業者2名で能率的に可能で可能となり、人手による作業が一切不要となる。
また、高密度で安定し保存性のよい高品質サイレージに調製でき、乳牛の体力が低下する夏場でも嗜好性が高く、乳量・乳質を維持することができる。現有のフォレージハーベスタが利用でき、アタッチメントの交換で牧草にも対応できる。
細断ロールベール
2.開発機の概要
- 細断型ロールベーラは、ハーベスタで収穫した細断トウモロコシをロール状に成形し、ネットを外周に巻き付け、走りながら放出するもの。細断ベール対応ベールラッパは、放出されたロールベールを特殊アームで崩さずに拾い上げ、速やかに密封調製するもの。なお、牧草ベールにも利用できる。
- 作業方法は、1ワンマン収穫、2枕地処理に対応した定置式利用、3低馬力トラクタを利用する伴走作業の3通りに対応できる。ワンマン収穫と伴走作業ではノンストップで高能率な作業ができる。
- ロールベールは、直径約85cm、重さ約300kg、ロスは約3%で、乾物密度200kg/m3前後の高密度で高品質なサイレージに調製できる。また、貯蔵1年後でも品質劣化しない。
- 細断型ロールベーラの作業能率は、30a/h程度(2条刈りハーベスタ使用時)で、所要動力は約15kW。細断ベール対応ベールラッパの作業能率は、20個/h程度(約13a/hに相当)で、22kW以上のトラクタで作業が可能。
- (試験場所、岩手県、福島県、群馬県、三重県、岡山県、宮崎県、家畜改良センター)

3.活用上の留意点
ワンマン作業を行うには、後方にPTO軸を有するフォレージハーベスタが必要。
4.委託研究実施会社
株式会社タカキタ、スター農機株式会社
細断型ロールベーラ
細断ベール対応ベールラッパ
5.主要諸元・構造
- 構 造
細断型ロールベーラは、ハーベスタで収穫されたトウモロコシ等をホッパで荷受けし、特殊形状のタイトバーで構成された成形室で円柱状に高密度成形し、ネットを外周に巻付けた後、放出する。
細断ベール対応ベールラッパは、崩れやすい細断ベールの両側面を特殊アームで把持して拾い上げ、密封調製を行う。なお、直径80~100cmの牧草ロールベールにも利用可能である。
- 主要諸元
細断型ロールベーラ |
機体の大きさ | 全 長(mm) |
4880 |
全 幅(mm) |
1905 |
全 高(mm) |
3180 |
質 量(kg) |
1707 |
成形室 | 形 式 |
特殊バーチェーン式 |
直径×内幅(mm) |
φ800×850 |
ホッパ容量 (立米) |
2 |
ネット幅 (mm) |
1200 |
所要動力 (kW) |
15 |
細断ベール対応ベールラッパ |
機体の大きさ | 全 長(mm) |
1800 |
全 幅(mm) |
1750 |
全 高(mm) |
2700 (アーム開放時のアッパーアーム先端までの寸法) |
質 量(kg) |
500 |
形 式 |
ターンテーブル式 |
積載方式 |
特殊アーム式 |
適応ベール (mm) |
φ800~1000 |
装着方式 |
半直装式 |
適応トラクタ |
22kW以上 |
6.作業性能
- 飼料用トウモロコシを供試した結果、細断型ロールベーラは、ワンマン収穫、枕地処理に対応した定置式利用、低馬力トラクタが利用できる伴走作業の3通りの方式に対応することができ、ワンマン収穫と伴走作業ではネット巻付け・放出時も停止することなく作業を行うことができた。ベールラッパは、細断ベールを崩さずに円滑に密封作業を行うことができた。
- 含水率65~80%の飼料用トウモロコシを供試して収穫調製作業を行った結果、成形されたロールベールの質量は300kg前後、放出時及び密封時に生じたロスは合わせて約3%程度であった。
- 作業能率は、30a/h程度(2条刈りハーベスタを用いたワンマン収穫作業時)、ベールラッパは20個/h程度(約13a/hに相当)であった。
- [参考]調製されたロールベール・サイレージは、高品質でばらつきがなく、貯蔵1年後でも品質が劣化せず、乳牛の嗜好性が極めて高く、夏場でも乳量・乳質を維持できた(試験農家の評価)。
- (試験場所、岩手県、福島県、群馬県、三重県、岡山県、宮崎県、熊本県、家畜改良センター)