1.利用のメリット
- 一次処理で有機物分解率30%程度、たい肥材料温度60°C以上を達成し、耕種農家が求める雑草種子等の死滅した高品質なたい肥を生産。
- 発酵状況に応じて通気を制御するたい肥化制御システムを装備。自宅や事務所でリアルタイムで発酵状況を確認可能。

戸田畜産(愛知県、肉牛肥育)
2.開発機の概要
- 週1回程度のかくはん作業をショベルローダ等で行う通気型たい肥舎をベースとし、たい肥材料の堆積高さ別の温度情報、処理日数等に基づい て通気量と通気時間の最適化を図り、高品質なたい肥を生産する装置。4槽の通気型発酵槽、通気を自動制御及び遠隔管理するたい肥化制御システム、屋根材と 一体型の太陽光発電装置で構成。
- たい肥化制御システムは、たい肥材料の堆積高さ別の温度を測定できるマルチサーモプローブ、通気量を測定できる風量センサ、た い肥化処理日数等によってたい肥材料の発酵状況を把握し、通気量及び通気時間を自動制御。モニタリング機能により、たい肥材料の発酵状況の確認が誰でも可 能、さらにたい肥材料の水分調整の良否等の判断も容易。
- マルチサーモプローブは、単体でも使用可能
(試験場所:愛知農総試、北海道伊達市森牧場、鹿児島県知名町田尻畜産、愛知県東浦町戸田畜産)
3.活用上の留意点
- 太陽光発電量は地域により差があるため、発電量が少ないところでは商用電力との併用が必要である。
- 搾乳牛50頭相当(処理量3.6t/日程度)の戸別農家を対象。
- 臭気対策の必要なところでは脱臭装置の設置が必要である。
4.委託研究実施会社
松下エコシステムズ株式会社
たい肥化制御システムの概要
5.主要諸元・構造
通気型たい堆肥舎の通気用送風機の電力を屋根材と一体化した太陽光発電装置で供給し、たい肥化を促進するためにマルチサーモプローブによるたい肥材料の温度管理や通気量の自動制御及び遠隔管理が可能なたい肥化制御システムを搭載した装置。
たい肥化方式 |
通気型たい肥舎 |
通気型発酵槽 | 面積 (m2/槽) |
24(4m×6m) |
槽数 (槽) |
4 |
設定通気量 (L/分/m3) |
70 |
通気用送風機 (W/槽) |
400 |
切返し回数 (回/週) |
1 |
太陽光発電電力 (kW) |
3 |
マルチサーモプローブ | 長さ (mm) |
1,850 |
質量 (kg) |
4.5 |
測定点数(点) |
8 |
6.作業性能
- 牛舎から搬出されたたい肥材料に約70L/分/m3に制御した通気を1日6時間行い、週1回ショベルローダで切返しをしながらたい肥化を 行った結果、4週間で高品質たい肥の目安とされる60°C以上のたい肥材料温度を2日間以上維持と有機物分解率30%程度を達成できた。
- たい肥化制御システムによるたい肥高さ別温度測定と通気の制御により、たい肥化を促進できた。また、たい肥化装置の自動制御と遠隔管理に合わせてたい肥化状態の監視も可能となった。
- 太陽光発電電力(設備電力3kW)をたい肥化装置(搾乳牛50頭規模)の通気用送風機(400W、4台)の電力として利用できた。
(試験場所:日本農業研究所実験農場、愛知農総試、森牧場、田尻畜産、戸田畜産)