農業環境研究部門

生物多様性保全・利用グループ

農業にとっての生物多様性は、土壌中の有機物や水分の調節あるいは野生生物による花粉媒介など、農業生産の基盤となる生態系の機能やサービスを提供しています。一方で、大規模で集約化した生産体系への転換により、農地やその周辺の生物多様性は劣化しています。持続可能な開発目標(SDGs)を達成するためには、生物多様性に配慮した農業を推進する必要があります。しかし、生物多様性を保全し利用する生産上の利点や経営上の効果、生物多様性に配慮した農産物の価値を消費者に伝える手法などが十分に解明されていないために、持続可能な農業の展開は滞っているのが現状です。こうした状況を打開するために、生物多様性保全・利用グループでは環境DNA分析等による農地の生物多様性を客観的に評価する技術の開発と、この技術を活用した生物多様性に配慮した農産物の認証制度への展開を図る研究を実施しています。また、花粉媒介昆虫などの地域内の生物資源を活用し、外来生物の侵入や蔓延に頑健な農業生態系を管理する技術の開発により、生態系機能・サービスに立脚した低管理コストの生産技術の確立を目指しています。

水田の生物多様性に配慮した農法(1~8)の各種生物群に対する保全効果(片山ら2020)

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