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対象家畜豚、いのしし
特徴

豚熱は豚熱ウイルスの感染による豚とイノシシの法定伝染病で、高い致死率と、強い伝染力が特徴である。日本では2007年に清浄化されたが、2018年9月に発生が確認されて以来、11県で62例が発生し、これまでに18万頭以上が殺処分されている。豚熱の発生はアジアやヨーロッパの多くの国で報告されているが、アメリカ合衆国やオーストラリアなどはOIEによって清浄国に認定されている。
感染動物との直接接触やその鼻汁や排泄物の飛沫・付着物との間接接触により感染が成立し、急性から慢性までの多様な症状を示す。感染豚は、41°C以上の発熱と食欲不振やうずくまりといった症状に加えて、発熱時には血液中にウイルスが出現し白血球減少症を起こす。急性では運動失調、後躯麻痺などの神経症状や耳介、尾、下腹部等に紫斑がみられるようになり数日から2週間で死亡する。慢性では、初期症状を示した後一旦は回復するが再び発熱、食欲不振を示し、最終的には削痩し、1~数カ月の経過で死亡する。死亡豚では出血病変が特徴的に観察され、リンパ節の出血や腎臓表面や膀胱粘膜の点状出血が高率にみられ、時には脾臓の出血性梗塞が起こる。
対策
伝染病対策の基本は侵入防止と早期発見・早期摘発である。豚熱等の伝染病の発生リスクを小さくするため、日ごろから飼養衛生管理基準の遵守により農場のバイオセキュリティーを強化することが重要である。
また農場で異常豚が発見された場合は「豚熱に関する特定家畜伝染病防疫指針」に従い、直ちに家畜保健衛生所に通報する。
[写真:CSFウイルスに感染した豚の腎臓に見られた点状の出血]
動物衛生研究部門 : 大橋誠一
参考情報
情報公開日 : 「家畜疾病図鑑」『日本農業新聞』 2013年8月21日、14面に掲載
情報更新日 : 2021年3月15日