動物衛生研究部門

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イバラキ病ヌカカがウイルス媒介

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対象家畜牛、水牛

特徴

イバラキ病

イバラキ病は、オルビウイルス属Orbivirus ruminantium (イバラキウイルス)の感染によって起こる急性の熱性疾患であり、わが国では牛と水牛の届出伝染病に指定されている。

発病初期には発熱(39~40°C)を伴う、元気および食欲の減退や、流涙、結膜の充血が起こり、水様~膿様の鼻汁漏出、泡沫性流涎(ほうまつせいりゅうぜん=泡状のよだれ)といった症状がみられる。重症化すると鼻や口の粘膜の充血・うっ血や潰瘍(かいよう)、蹄冠部の潰瘍や跛行(はこう=異常な歩き方)などを起こす。発症率は低いが、初期症状の後に舌、咽喉頭および食道の筋肉の変性壊死による嚥下(えんげ=飲み込むこと)障害を発症することがある。嚥下障害を起こした牛は、水を飲むことができず脱水症状に陥ったり、誤嚥性肺炎により死亡したりすることもある。

イバラキウイルスはヌカカによって媒介されるため、イバラキ病の流行には季節性と地域性があり、わが国では夏から晩秋にかけて関東地方以南で認められる。

対策

ワクチンによる予防が有効であり、流行が始まる前の7月までにワクチン接種を完了し、牛に十分な免疫を獲得させることが大切である。本病では嚥下障害を発症しない限り、予後は一般に良好である。嚥下障害を発症した牛に対しては、輸液による水分補給などの対症療法を行う。

[写真:イバラキウイルスの感染により泡沫性流涎を呈した牛]

動物衛生研究部門 : 白藤浩明、松浦裕一

参考情報


情報公開日 : 2016年5月11日
情報更新日 : 2024年11月18日