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対象家畜鶏
特徴

オルトヘルペスウイルス科に属する鶏伝染性喉頭気管炎ウイルスの感染によって起こる鳥類の急性呼吸器病で鶏の届出伝染病である。わが国では1976~1985年にかけて国内で大流行した。1990年代以降は小規模な発生が散発的に続いており根絶されていない。年間を通じて発生し、一度養鶏場に侵入するとウイルスが常在化しやすく、発生終息後に再発生することもあるため注意が必要である。
本病は日齢や鶏種に関係なく発症し、開口呼吸、異常呼吸、奇声、くしゃみ、痰、喀血等の呼吸器症状を主徴とする。死亡率が50%を超える場合もあり、主たる死因は痰、喀血による窒息である。病変は喉頭、気管などの呼吸器系組織、眼結膜に限局し、特徴的な粘膜上皮細胞の合胞体(多数の核を持つ細胞)形成が認められる。
対策
治療法はなく、予防対策としてワクチン接種と一般的な衛生管理の徹底を行う。本病は、主に発症鶏から排泄された痰や飛沫によって汚染された飼料、飲水、からの経鼻・経口感染によって伝播するため、発症鶏群の隔離飼育を徹底することが重要である。また、鶏伝染性喉頭気管炎ウイルスは消毒薬、日光、高温に弱く、鶏体外では不活性化しやすいため一般的な衛生管理を行うことで汚染された飼育器材による感染拡大を防ぐことができる。
一方、一度感染した鶏は症状を示さなくなってからもウイルスを保持し続けるため、敷地内の全鶏群をオールアウトしないかぎり清浄化は困難である。
[写真:発症鶏の気管粘膜組織象。伝染性咽頭気管支炎に特徴的な合胞体形成(矢印)がみられる。]
動物衛生研究部門 : 渡邉聡子
参考情報
- 家畜の監視伝染病 鶏伝染性喉頭気管炎
情報公開日 : 2017年6月14日
情報更新日 : 2024年11月18日