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伝染性ファブリキウス嚢病徹底した衛生管理を

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対象家畜

特徴

伝染性ファブリキウス嚢病

伝染性ファブリキウス嚢病伝染性ファブリキウス嚢(のう)病は、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルスの感染による鶏の届出伝染病で、ウイルスは主にファブリキウス嚢(F嚢)を中心としたリンパ器官に感染して、炎症や壊死を起こす。F嚢は総排泄腔(そうはいせつこう)の背側に位置する鳥類に特有のリンパ器官で、免疫の発達に重要な役割を担っている。

10週齢までの若齢期に発生しやすく、突発的に元気消失、羽毛逆立ち、水様下痢を起こす。症状は急性経過をとるが、多くは1、2週間程度で回復する。死亡例は感染3日目くらいから認められ、致死率は数~数10%まで、ウイルスの病原性や混合感染の状況により様々であるが、病原性の強いウイルスによっては100%に達することもある。死亡鶏では筋肉や消化管に出血が見られることもある。

感染から回復した後も免疫細胞が破壊されているため、他の病原体に感染しやすく免疫ができにくい状態になる。ウイルスは熱や酸に強く、糞便中に排出された後も環境中に長く残存して新たな感染源となる。

対策

治療法はない。オールイン・オールアウトおよび鶏舎の徹底した消毒により、ウイルスを鶏舎からなくす衛生管理を行う。3、4週齢時までは、種鶏へのワクチン接種による移行抗体で感染を予防する。その後は移行抗体の消失時期に、複数回ワクチンを投与し免疫を保つ。病原性の強いウイルスに対しては中等毒タイプの生ワクチンが用いられる。

[写真:伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス感染後3日目の鶏に見られた元気消失、羽毛の逆立ち]

動物衛生研究部門 : 生澤充隆、谷川太一朗

参考情報


情報公開日 : 「家畜疾病図鑑」『日本農業新聞』 2013年6月26日、16面に掲載
情報更新日 : 2024年11月18日