家畜生産現場では、幼弱動物の下痢・肺炎や日和見感染症、乳房炎、代謝障害、繁殖障害など生産病と呼ばれる疾病が問題となっています。また、環境中の様々な毒性物質によって起こる中毒性の疾病も存在します。一方で、畜産従事者の減少・高齢化が進み、労働力不足が深刻化しています。このため、従事者の労働負担を軽減しつつ、農場での疾病の早期発見と健康管理の高精度化・省力化により、担い手不足の解消や疾病の制御によるデータ駆動型の家畜衛生管理技術の開発が必要です。
衛生管理研究領域では、生化学、毒性学、免疫学、病理学等の手法を用いて、動物疾病の診断、治療、予防のための研究を進めており、生体センシングや動画解析技術等を用いて疾病の早期検知や病態の進行を推定するデータ駆動型疾病管理システムの開発、搾乳機ビルトイン型乳汁センサシステム及び乳房炎ワクチンの開発、デジタル病理画像をデータベース化した病理診断補助システムの開発などを通して、農場での疾病早期発見と健康管理を高精度化、省力化し、農家の人手不足の解消や疾病の制御による生産性の向上に貢献することを目指しています。また、技術講習や病性鑑定も行っています。