生物機能利用研究部門

遺伝子組換え作物の栽培実験

平成28年度遺伝子組換えカイコの飼育管理及びモニタリング調査結果について

国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)は、遺伝子組換えカイコ(緑色蛍光タンパク質含有絹糸生産カイコ、高染色性絹糸生産カイコ、青色蛍光タンパク質含有絹糸生産カイコ及び橙色蛍光タンパク質含有絹糸生産カイコ)の第一種使用等(※)による飼育を群馬県蚕糸技術センターとともに群馬県蚕糸技術センター隔離飼育区画において行ってきましたが、この度飼育が終了しましたので、遺伝子組換えカイコの交雑防止措置と飼育開始以降の処理等についてお知らせします。
収穫物は、今後実施予定の様々な試験に使用するため、冷凍による不活化後に繭の状態で保管しています。また、平成28年12月までのモニタリング調査の結果、遺伝子組換えカイコとクワコとの交雑個体は、見つからなかったことをお知らせします。

緑色蛍光タンパク質含有絹糸生産カイコ

第1回飼育

○第一種使用等飼育開始(平成28年5月20日(金曜日))
○上蔟(平成28年6月4日(土曜日)~6月5日(日曜日))
○収繭(平成28年6月13日(月曜日)~6月15日(水曜日))
○使用蚕室:パイプハウス蚕室及びプレハブ蚕室
○交雑防止措置

  • パイプハウス蚕室の内側全体と、プレハブ蚕室の開閉可能な窓及び戸並びに換気口に網を張って、クワコ成虫の侵入を防止しました。

○収穫後の処理・作業

  • 収穫した繭(蛹)は、冷凍によりすみやかに不活化しました。(平成28年6月16日(木曜日))
  • 飼育終了後に残るクワの枝等の残渣は、蚕室内で遺伝子組換えカイコを取り除いた上で、隔離飼育区画内の残渣処理室で粉砕処理により不活化しました。(平成28年6月6日(月曜日)~6月8日(水曜日))

第2回飼育

○第一種使用等飼育開始(平成28年7月15日(金曜日))
○上蔟(平成28年7月27日(水曜日)~7月28日(木曜日))
○収繭(平成28年8月3日(水曜日)~8月4日(木曜日))
○使用蚕室:パイプハウス蚕室及びプレハブ蚕室
○交雑防止措置

  • パイプハウス蚕室の内側全体と、プレハブ蚕室の開閉可能な窓及び戸並びに換気口に網を張って、クワコ成虫の侵入を防止しました。

○収穫後の処理・作業

  • 収穫した繭(蛹)は、冷凍によりすみやかに不活化しました。(平成28年8月5日(金曜日))
  • 飼育終了後に残るクワの枝等の残渣は、蚕室内で遺伝子組換えカイコを取り除いた上で、隔離飼育区画内の残渣処理室で粉砕処理により不活化しました。(平成28年7月29日(金曜日)~8月1日(月曜日))

第3回飼育

○第一種使用等飼育開始(平成28年10月6日(木曜日))
○上蔟(平成28年10月19日(水曜日)~10月20日(木曜日))
○収繭(平成28年10月26日(水曜日)~10月27日(木曜日))
○使用蚕室:パイプハウス蚕室及びプレハブ蚕室
○交雑防止措置

  • パイプハウス蚕室の内側全体と、プレハブ蚕室の開閉可能な窓及び戸並びに換気口に網を張って、クワコ成虫の侵入を防止しました。

○収穫後の処理・作業

  • 収穫した繭(蛹)は、冷凍によりすみやかに不活化しました。(平成28年10月27日(木曜日))
  • 飼育終了後に残るクワの枝等の残渣は、蚕室内で遺伝子組換えカイコを取り除いた上で、隔離飼育区画内の残渣処理室で粉砕処理により不活化しました。(平成28年10月21日(金曜日)~10月24日(月曜日))

モニタリング調査

  • 平成28年12月までのモニタリング用トラップ配置期間(平成28年5月24日(火曜日)~12月19日(月曜日))
  • 本隔離飼育区画の四隅の外側に、合成した性フェロモン(ボンビコール)を誘引源として粘着板で捕獲するフェロモントラップを設置し、クワコ雄成虫を捕獲しました。
  • 調査結果
    平成28年5月24日以降、平成28年12月19日までにクワコ雄成虫271頭を捕獲しました。
  • 捕獲したクワコ雄成虫のうち、複眼で赤色蛍光を発現していた個体は0頭、PCR法によって緑色蛍光タンパク質遺伝子または赤色蛍光タンパク質遺伝子が検出された個体も0頭で、交雑は認められませんでした。

高染色性絹糸生産カイコ

第1回

○第一種使用等飼育開始(平成28年7月15日(金曜日))
○上蔟(平成28年7月28日(木曜日))
○収繭(平成28年8月5日(金曜日))
○使用蚕室:パイプハウス蚕室
○交雑防止措置

  • パイプハウス蚕室の内側全体に網を張って、クワコ成虫の侵入を防止しました。

○収穫後の処理・作業

  • 収穫した繭(蛹)は、冷凍によりすみやかに不活化しました。(平成28年8月5日(金曜日))
  • 飼育終了後に残るクワの枝等の残渣は、蚕室内で遺伝子組換えカイコを取り除いた上で、隔離飼育区画内の残渣処理室で粉砕処理により不活化しました。(平成28年8月2日(火曜日))

モニタリング調査

  • 平成28年12月までのモニタリング用トラップ配置期間(平成28年7月28日(木曜日)~12月19日(月曜日))
  • 本隔離飼育区画の四隅の外側に、合成した性フェロモン(ボンビコール)を誘引源として粘着板で捕獲するフェロモントラップを設置し、クワコ雄成虫を捕獲しました。
  • 調査結果
    平成28年7月28日以降、平成28年12月19日までにクワコ雄成虫192頭を捕獲しました。
  • 捕獲したクワコ雄成虫のうち、複眼で緑色蛍光を発現していた個体は0頭、PCR法によって緑色蛍光タンパク質遺伝子が検出された個体も0頭で、交雑は認められませんでした。

青色蛍光タンパク質含有絹糸生産カイコ

第1回

○第一種使用等飼育開始(平成28年7月15日(金曜日))
○上蔟(平成28年7月28日(木曜日))
○収繭(平成28年8月4日(木曜日))
○使用蚕室:プレハブ蚕室
○交雑防止措置

  • プレハブ蚕室の開閉可能な窓及び戸並びに換気口に網を張って、クワコ成虫の侵入を防止しました。

○収穫後の処理・作業

  • 収穫した繭(蛹)は、冷凍によりすみやかに不活化しました。(平成28年8月5日(金曜日))
  • 飼育終了後に残るクワの枝等の残渣は、蚕室内で遺伝子組換えカイコを取り除いた上で、隔離飼育区画内の残渣処理室で粉砕処理により不活化しました。(平成28年8月1日(月曜日))

モニタリング調査

  • 平成28年12月までのモニタリング用トラップ配置期間(平成28年7月28日(木曜日)~12月19日(月曜日))
  • 本隔離飼育区画の四隅の外側に、合成した性フェロモン(ボンビコール)を誘引源として粘着板で捕獲するフェロモントラップを設置し、クワコ雄成虫を捕獲しました。
  • 調査結果
    平成28年7月28日以降、平成28年12月19日までにクワコ雄成虫192頭を捕獲しました。
  • 捕獲したクワコ雄成虫のうち、PCR法によって導入遺伝子(HC-Sirius)が検出された個体は0頭で、交雑は認められませんでした。

橙色蛍光タンパク質含有絹糸生産カイコ

  • 平成28年9月から第一種使用等による飼育実験を4齢幼虫から開始するため、第二種使用等として3齢幼虫までを飼育していたところ、飼育容器の温度制御不調による高温のため、すべてが死亡したことから、第一種使用等による飼育実験を中止しました。