作物研究部門

麦栽培マニュアル

キヌヒメ

主要特性

  • 「シラネコムギ」より4日早熟で、多収である。
  • 穂発芽性は難で、成熟期の降雨による品質低下を防げる。
  • 秋に早播きしても年内に不時出穂しないので(播性はIV)「稲間まき」などの利用範囲が大きい。
  • 越冬性は、早生種の中では優れる。

キヌヒメ

作業工程

水田転換畑における石灰質資材の効果

収量 穂数
歩数が増加し多収となるよう土壌pH6.0を目標に炭酸苦土石灰を100~200kg/10a施用。

炭酸苦土石灰施用の効果

播種適期は標高で異なる

適期播種し、越冬前に葉数4~5葉、茎数3本/株の生育を確保。

標高ごとの播種適期

止葉展開期追肥で収量品質の向上

多収を図るため止葉展開期に4kg(N成分/10a)の追肥。

追肥と収量の関係

止葉展開期4kgの追肥により蛋白含有量も向上。

追肥と蛋白含有量の関係

止葉展開期4kgの追肥で粉の明るさも向上。

追肥と粉の明るさの関係

キヌヒメの特性(須坂市)

品種名成熟期収量
(kg/10a)
千粒重
(g)
リットル重
(g)
キヌヒメ 6月18日 584 38.7 783
(標)シラネコムギ 6月22日 549 38.6 792

キヌヒメの製めん適性(長野県製粉協同組合)

品種名
(25)
外観
(20)
粘弾性
(25)
総合
(100)
キヌヒメ 9.5 14.5 18.2 73.1
(標)シラネコムギ 17.5 14.0 17.5 70.0

キヌヒメの栽培適地

雪腐れ病や冬の寒さに対する強さ、成熟期、穂発芽のしにくさから、栽培適地は関東北部・東山地域および南東北地方の小雪地帯である。

キヌヒメの栽培適地