作物研究部門

麦栽培マニュアル

キタノカオリ

主要特性

  • 製パン適性が優れる。
  • 赤さび病、うどんこ病抵抗性が優れる。
  • 耐倒伏性が優れる。

キタノカオリ

写真左下:ホクシン(左)、キタノカオリ(右)
写真右下:キタノカオリ(左)、ホクシン(中)、ホロシリコムギ(右)

作業工程

地帯に応じた適期播種により越冬前の生育確保

適期播種を行い、越冬前の生育量を確保するため、主茎葉数が 6 枚以上になるようにする。
そのため、道央。道北部では 9 月上旬~中旬、中でも越冬条件が厳しい地帯では上旬までに、また、道東部でも中旬までに播種を行う。
キタノカオリはホクシンに比べ初期生育が劣る傾向にあるので、適期播種を励行する。

播種量は播種期により調整

播種量は 255 粒/ m2 であるが、適期内でも遅れる場合は 2 割程度多めにする。

施肥量は品種特性・品質を考慮

キタノカオリはホクシン等とは異なりパン用品種なので、子実の蛋白含量が高くなるように肥培管理に努める。
起生期の窒素施与は収量性の向上に、出穂期以降の追肥は子実の高タンパク化につながる。
キタノカオリの成熟期はホクシンよりも遅いので、過剰な後期窒素施与による更なる成熟期の遅れに注意する。

窒素施用量

キタノカオリの製パン性を十分に発揮させるためには、小麦粉蛋白量で 11% 以上、子実蛋白量では 12% 以上を目標にする。

蛋白質含量

その他栽培をする上での留意事項

小麦縞萎縮病には弱いので、すでにホクシンで発生が認められている圃場では栽培しない。
多雪地帯での冬損程度はホクシンよりやや多い傾向にあるので、適切な管理に努める。
赤かび病には必ずしも強くないので、防除の徹底を図る。
穂発芽性は必ずしも十分でないので、適期収穫を励行する。

パンと中華麺(キタノカオリのパンと中華麺)

キタノカオリのパンと中華麺

パン左からホロシリコムギ、キタノカオリ、1CW

左からホロシリコムギ、キタノカオリ、1CW

キタノカオリの特性(芽室町)

品種名出穂期成熟期桿長
( cm )
穂長
( cm )
穂数
(本/m2 )
子実重
( kg/10a )
1リットル重
( g )
千粒重
( g )
粒質
キタノカオリ 6月12日 7月25日 75 9.0 604 586 812 41.3 硝子質
ホクシン 6月6日 7月20日 83 8.4 621 607 796 38.1

粒状質

品種名耐寒性耐雪性赤さび病
抵抗性
うどんこ病
抵抗性
赤かび病
抵抗性
小麦縞萎縮病抵抗性耐倒伏性穂発芽性
キタノカオリ やや強 かなり強
ホクシン やや強 やや弱 やや強 やや弱

キタノカオリの品質特性(芽室町)

品種名製粉歩留
(%)
ミリングスコア60% 粉蛋白含量
(%)
60% 粉灰分含量
(%)
アミログラム最高粘度
( Bu )
ファリノグラム吸水率
(%)
ファリノグラム
VV
キタノカオリ 71.5 83.8 11.4 0.44 458 66.4 97
ホクシン 68.6 82.4 10.3 0.41 1115 53.5 48
品種名吸水性評価
( 20 )
作業性評価
( 20 )
パンの官能評価総合評価1)
( 100 )
外観
( 30 )
内相
( 70 )
合計
( 100 )
キタノカオリ 17.3 16.2 25.7 58.7 84.4 84.2
ハルユタカ2) 16.1 15.8 24.4 56.7 81.1 80.5

注1) 総合評価=吸水性評価+パンの官能評価 *0.6
2) ハルユタカは北海道産

キタノカオリの栽培適地

全道の秋まき小麦栽培地帯。

栽培適地